朝鮮の核に恐れをなす日米政権によって醸成される
緊迫した世界情勢

―フィンランドのチュチェ思想研究者と懇談―





 8月19日、フィンランドの首都ヘルシンキにおいてフィンランド・チュチェ思想セミナーが開かれ、チュチェ思想国際研究所理事でフィンランド・チュチェ思想研究会会長のユハ・キエクシ氏をはじめとするフィンランドのチュチェ思想研究者とチュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏が参加しました。
 セミナーでは最初にユハ・キエクシ氏をはじめフィンランドの4人のチュチェ思想研究者が報告をおこないました。  

 それぞれの報告者は、朝鮮の社会主義は自主性にもとづいて建設されている、朝鮮が自主平和の道をすすんでいることは世界の模範となっており、世界人民を励ましている、朝鮮と連帯してたたかうことが重要であると指摘しました。
 さらに、こんにち米国の要求にしたがわない国は、経済制裁などさまざまな処罰をうけている、朝鮮はその対象となっている、しかし朝鮮をよく理解している人は朝鮮が戦争をはじめようとしているわけではないことを理解していると述べました。
 フィンランドは独立国といえるのでしょうか。アメリカ、そしてEU(欧州連合)のもとにあって、自主の道をすすむことが求められています。
 つぎにロシア金正淑女性同盟委員長のエリナ・バビチ氏からセミナーに寄せられたメッセージが紹介されました。  

金日成金正日主義が拓く自主と平和の欧州

 セミナーではチュチェ思想国際研究所の尾上健一事務局長が「金日成金正日主義が拓く自主と平和の欧州」と題して、つぎのように報告しました。
 現代は世界を支配し世界の運命に決定的影響をあたえる特定の国がないGゼロの世界となり、あらゆる国が自国の運命をみずからの決心と力できり拓くことのできる自主の時代です。
 自主の時代は、各国各民族がみずからの運命を自主的創造的にきり拓く時代です。
 こんにち、各国各民族の自主性を擁護し実現する思想が解明されたことにより、自主をかかげてたたかう隊伍が力強く前進するようになりました。
 朝鮮は金日成主席が創始し金正日総書記が発展豊富化させたチュチェ思想を真髄とする金日成金正日主義を唯一の指導指針にし、革命と建設をおしすすめています。
 自主性を生命とする民衆の本性的要求にこたえ実現する思想とその政策は、民衆の全的な支持をうけ、民衆自身が主人となって推進する社会主義の威力を日ごとに示しています。
 米欧帝国主義が各国の自主権や生存権を公然とおびやかしている状況下で、朝鮮のたたかいを支持し、朝鮮との連帯を強めることが重要になっています。
 米帝がアフガニスタン、イラク、シリアを侵略したとき、ヨーロッパ諸国は戦争に積極的に協力し石油をはじめとする資源と労働力の略奪に加担してきました。
 侵略の砲火をあびた諸国は焦土化し、6000万人をこえる難民と数億人の移民が生まれました。
 命をかけて流入した難民、移民をめぐってヨーロッパの一部の国では排外主義が強まり、多くの社会問題が生じることになりました。
 資本主義固有の個人利己主義と弱肉強食の論理が貫かれるなかで、EU内部では豊かな国と貧しくなる国との二極化がすすんでいます。ヨーロッパにおける二極化の動き、各国内における貧富の格差は年ごとに顕著になってきています。
 米帝国主義とヨーロッパ、EU諸国内部の一連の動きは、帝国主義の関係は対立が基本であり、けっして協調することはないことを示しています。
 支配や従属を拒否し、自主、平和の世界、ヨーロッパの輝かしい未来をきずくために金日成金正日主義を研究普及することが切迫した課題になっています。
 ヨーロッパのチュチェ思想研究者は自国と世界の自主化、恒久平和の実現をめざして、金日成金正日主義の旗を高くかかげともにたたかっていきましょう。

朝鮮の核とミサイルは米国にとって最大の脅威

 報告にもとづいて質疑応答がおこなわれ、報告者はつぎのように述べました。
 最近、朝鮮が核兵器、長距離弾道ミサイルを持つことによって世界の情勢が緊張しているかのような様相を呈しています。これは朝鮮が緊張しているのではなく、米帝国主義が朝鮮の核兵器、ミサイルにおそれをなして緊張しているというのが実態です。
 今年になって、朝鮮が核兵器を持つことにより、米国をはじめ核を保有している大国が朝鮮の核兵器によって攻撃される危険性が歴史上はじめておこりました。いま朝鮮の核兵器は米本国に確実に到達する能力、技術をもっています。
 朝鮮が核兵器を持つことによって、帝国主義の安全のためではなく、帝国主義が崩壊する可能性を秘めた核兵器がはじめて地球上に生まれることになりました。
 いま米国内部で二つの大きな変化がおこっています。
 一つは、朝鮮の長距離弾道ミサイルから米本国をいかに防衛するかということであり、これが米国の最大の関心事になっています。米国には朝鮮の長距離弾道ミサイルから自国を防衛する方法がないのです。戦争はおこっていませんが、すでに勝敗は決まっているといえます。朝鮮はすでに戦争に勝利しているのです。
 二つは、米国は朝鮮をいかにしてつぶすか、指導者を暗殺するか、あるいは経済制裁や兵糧攻めにして人民に食べさせないで、人民をみな飢え死にさせるかということを考えていることです。
 しかし、朝鮮の指導者と2000万の朝鮮人民をすべて殺りくすることはできません。結局、朝鮮となかよくして、戦争をしないで平和な世界をつくってすすむのが現実的な選択であるという考え方が、米国の一部にあります。
 米国務長官の指示で、米国と朝鮮の政府代表がノルウェーで会談をおこない、水面下ではいま和解の方向で話し合いがすすんでいます。
 米国内部が大きくゆれて混乱しています。トランプ政権も脆弱となり、世界にたいしては朝鮮の悪宣伝を声高にくりかえしおこなう一方、トランプ大統領は側近を毎日のようにつぎつぎ首にしたり、これまで支えてきた人士が政権からはなれていったりしています。
 いま米国がおそれているのは、社会主義国ではなく自主的な国です。米国に従属しない国がこわいのです。
 米国に従属する国は、大国であっても社会主義国と称していても米国はまったくおそれていません。たとえば中国はいま、米国と経済関係をもとうとして従属する態度をとっているため脅威にならないのです。しかし小国であっても、シリアやイラン、朝鮮のように、米国に従属しない国は脅威となり崩壊させたいと考えています。
 フィンランドの場合でも、ロシアやスウェーデンに従属して生きていたときは表面的には安全が保たれていました。しかし、その生活は安全であっても楽しいものではなかったと思います。自主的に生きたたかうリーダー、指導者や司令官のもとフィンランド人民がたたかった歴史は、苦しくても歴史にきざみこまれる誇りある歴史になると思います。
 セミナーは金日成金正日主義が自主時代を導く指導思想であることを確認し、フィンランドとヨーロッパの自主化を促進するものとなりました。