チュチェ思想は自主・平和のための指針
―アジア・チュチェ思想研究所理事長夫妻を迎え全国セミナー開催―

1月8日、金正恩総書記の誕生を祝賀し、チュチェ思想研究全国セミナーが、那覇市の沖縄県立博物館・美術館において金日成金正日主義研究全国連絡会と沖縄チュチェ思想研究連絡会の主催、チュチェ思想国際研究所の後援により開催されました。

セミナーには、インドから来日したアジア・チュチェ思想研究所理事長のハリシュ・チャンダー・グプタ氏と元デリー大学女子大学院校長のサドナ・ハリシュ女史、アジア・チュチェ思想研究所理事で金日成金正日主義研究全国連絡会代表世話人の家正治氏、チュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏、在日本朝鮮人総聯合会副議長の徐忠彦氏をはじめ、北海道から沖縄に至る全国各地からチュチェ思想研究者など各界人士130余人が参加しました。セミナーにはまた、アフリカやアジアの在日外国人も参加しました。

セミナーでは、チュチェ思想に関する報告と講演がおこなわれ、新春芸術公演では多彩な歌、踊りなどが披露されました。

ハリシュ・チャンダー・グプタ夫妻はコロナ禍のなかを遠路はるばるセミナーに参加しました。

金正恩総書記の誕生を外国人のチュチェ思想研究者とともに祝賀し、交流することを通して、互いに励まし合う意義のあるセミナーとなりました。

セミナーでは家正治氏が主催者挨拶に立ち、ハリシュ・チャンダー・グプタ氏らを歓迎し、つぎのように述べました。

いまは混迷の時代であり、原点に立ち返ることが大事です。戦後制定された日本国憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を特徴としていると言われています。戦後日本の政治のあり方として、平和主義や専守防衛が強調されてきました。しかし日本政府は敵基地攻撃能力を備え、防衛費をGDP比2%に引き上げるといって戦争政策をおしすすめています。日本と世界の自主化、国際社会の民主化を実現することが重要な課題になっているなかにあって、チュチェ思想研究全国セミナーを日本の矛盾が集約された沖縄において開催することは大きな意義があります。

世界政治を主導する戦略国家として登場した朝鮮

徐忠彦氏が来賓挨拶をおこない、つぎのように述べました。

金正恩総書記は、2012年に朝鮮の最高指導者の地位に就きチュチェの革命偉業を完成するための体制をうちかためてきました。2016年に36年ぶりに開かれた朝鮮労働党第7回大会は金正恩時代への契機となり、2021年に第8回党大会を開催して金正恩時代が開花期を迎えています。

金正恩総書記は、政治、組織、思想、規律、作風を党建設の五大建設として提起し、朝鮮革命を導く党を強化しています。

また金日成金正日主義を定式化し、その本質を人民大衆第一主義と規定し、総書記自ら実践しています。人民大衆第一主義は、すべてを人民のために、すべてを人民大衆に依拠して、というスローガンに代表され、幹部の官僚主義、不正腐敗、特権行為を一掃するものです。

金正恩総書記の卓越した指導によって朝鮮では党と民衆の一体化が実現され、社会主義経済建設が飛躍的に発展し、人々の意識も変わってきており、戦争の危機から脱した解放感、未来への希望、確信に満ちています。

朝鮮はこんにち世界屈指の戦略国家へと様変わりし、世界政治を主導する、核大国として登場するようになりました。

金正恩総書記は、中国、ロシアの首脳との精力的な首脳外交によって、社会主義国家、自主勢力との友好関係を強化発展させています。

セミナーには、朝鮮社会科学者協会からメッセージが寄せられました。

また参議院議員の髙良鉄美氏からは、沖縄県民の思いとは裏腹に日米政府による「基地の島」の永久化がすすんでいるなかで「沖縄を二度と戦場にはしない」ために、本全国セミナーが実りあるものとなることを願うとのメッセージが寄せられました。

自主独立のためには自力更生が不可欠である

セミナーではハリシュ・チャンダー・グプタ氏が報告をおこない、つぎのように述べました。

世界はいま、人類史上、きわめて不確実で不安定な、そして危険な段階を迎えています。戦争の暗雲が世界のすべての国々に垂れこめており、世界平和が著しく脅かされています。

世界のすべての紛争の根源に、覇権を追求し、資源を略奪し、脆弱な独立国家に彼らの政治システムをおしつけようとする米国とその同盟国があります。米国は、世界における唯一の超大国として存在しつづけるために、ロシアの弱体化を狙い、ウクライナに軍備や支援物資を提供して戦争を長期化させています。帝国主義者は、つねに自主独立国家を支配し従属させるために、世界のいたるところで戦争を勃発させつづけています。米帝国主義を頭目とする帝国主義の侵略と略奪の本性は変わるものではありません。

チュチェ思想の重要な内容は、自力更生によって実現される自主性です。朝鮮はいつも、政治、経済、国防など、全分野において、自力更生の政策をうちだし、実施してきました。

米国による核威嚇があったがゆえに、朝鮮は抑止力としての核を保有する困難な道にすすまざるをえませんでした。社会主義朝鮮を圧殺しようとする米国の敵視政策により、米国が朝鮮を目にささったとげと見なしているために、朝鮮半島が世界でもっとも核戦争の危機が差し迫った危険な地域となっています。

金正恩総書記は、朝鮮半島の統一を達成することを最優先課題とし、その目的を実現するために多くの努力をかたむけています。朝鮮半島の恒久平和を確かなものとし世界戦争の危機を回避するためには、朝鮮統一がこんにちの不安定な世界において絶対的な切迫した要件です。

世界のすべての国の自主独立のためには、自力更生が不可欠であると提唱するチュチェ思想が示す道をすすまなければならないといえます。世界のすべての国が自力更生するなら、世界平和はただちに実現されるでしょう。

戦争へ向かう沖縄の基地政策―チュチェ思想にもとづく自主・自立の反戦平和を

セミナーでは平良研一氏が講演をおこない、つぎのように述べました。

現在、世界は混迷と危機の状況のなかにある。資本主義の矛盾が渦巻き、向かうべき歴史的方向を見失っている。戦争をつくりだすのは、社会矛盾のなかで、正しい原理・原則に基づく政治のモラルを喪失したときである。

米国の戦後戦略は、「核」を密約で隠したまま沖縄の米軍基地を維持し、日本全土を基地化することであった。沖縄戦における皆殺しの作戦も、本土における東京空襲をはじめ、全国空爆につながり、広島・長崎への原爆投下も「核」の威力を世界に見せつけ「核」の脅威を示すことによって、世界の覇権を確実にすることであった。

日本の戦後状況を見ると、日本は真に解放されたのかという痛切な思いをぬぐうことができない。日本全土の米軍専用施設の70%を占める沖縄は戦場と同様、軍事演習場となり、事件、事故が後を絶たない。

「核」で他国を攻撃し、その人民を抹殺することは考えられない。

ウクライナ戦争が起こってから急速に日本は防衛、戦争準備に力を入れている。

米韓合同軍事演習が盛んにおこなわれ、中国に対する台湾有事に向けての実践さながらの合同軍事演習が朝鮮の目の前でおこなわれている。このような情勢を理由にして日本政府は、軍事に特に力を入れることを表明し、予算も五年間で43兆円と見込んでいると公言している。武器を持たないことが、日本にとっては最も安全な道である。

集団が健全に機能しなければ、社会は正しく発展することはできない。利己的になり、さまざまな事件、事故が起こり、やがては戦争にさえ発展する。だからこそチュチェ思想においては、集団主義を大切にし、そこで愛と信頼を育み、人間として真に解放される。人間として解放されることによって自主性や創造性が花開き、社会に活気が生まれる。

朝鮮社会主義は、人間中心のヒューマンな社会主義であり、戦争を否定するヒューマニズムの社会である。その意味で人間中心であって人間の一人よがりの思想ではない。生きとし生けるものの共存をめざし、平和な関係を結んでいく思想である。

セミナーでは、金正恩総書記に送る手紙が朗読されました。

次代の未来を明るくする政治

最後にチュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏が閉会の挨拶をおこない、つぎのように述べました。

金正恩総書記は、昨年12月27日、朝鮮少年団第9回大会参加者に「少年団の旗を高く掲げ強国の未来をめざして進もう」と題する書簡を送りました。

朝鮮では革命の初期にセナル少年同盟が創立されてから100年、建国後に朝鮮少年団が創立されて70余年が経ちます。

金正恩総書記は書簡のなかで「革命をすすめる党にとってもっとも大きなことは、次世代が50年も500年も他人に頭を下げずに堂々と生きていく尊厳ある強大な国を建設することです。社会主義をしっかりと固守しているのも、次世代に明るい笑顔と何羨むことのない幸せを与え、子々孫々幸福を享受する強国を譲り渡すためです」と述べています。次世代の幸せを党の第一の事業としておし進める金正恩総書記のような指導者は他にみることはできません。

朝鮮の核兵器は今を守るためだけではなく、将来の繁栄のために、とりわけ次世代の子どもたちの幸せのためにあるのです。朝鮮では子どもたちが輝き、未来が輝いています。

朝鮮が子どもたちに幸せな未来を保障している一方で、日本政府は次世代の将来に大きな犠牲を強いる政策をおし進めています。政府は先制基地攻撃をはじめとする軍拡の財源を赤字国債にもとめており、10年後、20年後に大人になる子ども世代に莫大な額の借金を課しています。

子どもたちを愛し信頼する政治、次世代の未来を明るくする政治を領導する金正恩総書記に学ぶことは大きな意義があります。

尾上事務局長は今回のセミナーがチュチェ思想の正当性、将来性を示すものとなったと閉会の言葉を締めくくりました。

基地のない沖縄、戦争のない世界をきずくために
―新春芸術公演―

チュチェ思想研究全国セミナー後、沖縄県立博物館・美術館講堂で新春芸術公演がおこなわれました。

最初に舞台にあがった喜納昌吉氏と吟呼氏は、沖縄の美しい自然と人々の心の強さをうたいました。そして沖縄の平和を踏みにじる米軍基地への怒りを歌と演奏に込めました。また朝鮮の統一を願って「アリラン」「花~すべての人の心に花を~」をうたいました。喜納昌吉氏と吟呼氏の心の底からの歌声は参加者の胸に大きな衝撃を与え、アンコールで「ハイサイおじさん」をうたうと参加者が飛び入りで壇上に上がって踊りだし、会場は歓声と手拍子の渦に包まれました。

日朝音楽芸術交流会副会長で歌手の遠山洋子氏は、朝鮮敵視政策によってきびしい朝鮮バッシングがあるなかで日朝友好のために活動をつづけてきた思いを込めて自分の持ち歌をうたいました。また壇上から観客席にはいり、観客に語りかけるようにシャンソンをうたうと会場は温かい雰囲気に包まれました。最後に金正恩総書記とともに生きていくという朝鮮の歌をうたいました。

琉球和太鼓で創作活動をおこなうなど沖縄の伝統芸能の継承発展に尽力している鼓衆若太陽がエイサーを披露し、獅子舞「伝令」の獅子が登場し、観客席におりると会場は子どもと大人の驚きと怖さで最高潮になり、どよめきに包まれました。未来を担う若者が演じる力強い太鼓と踊りは参加者の胸に大きな感動を与えました。

セミナーの参加者からは、感動した、新しい年の活動をおこなっていく大きな力を得たなど多くの感想が寄せられました。

年のはじめに開催されたチュチェ思想研究全国セミナーは、大きな成果を収めて閉会しました。