アジアと世界の自主・平和を実現するために
チュチェ思想国際研究所が定例研究会を東京で開く
1月10日、東京の豊島区民センターにおいて、チュチェ思想国際研究所の定例研究会が開催され、インドから来日したアジア・チュチェ思想研究所理事長のハリシュ・チャンダー・グプタ氏と元デリー大学女子大学院校長のサドナ・ハリシュ女史、チュチェ思想国際研究所理事で埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫氏、チュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏、在日本朝鮮人総聯合会副議長の徐忠彦氏、朝鮮大学校学長の韓東成氏をはじめ関東を中心に全国から学者、チュチェ思想研究者、日朝友好人士が参加しました。
定例研究会では、鎌倉孝夫氏、サドナ・ハリシュ女史、ハリシュ・チャンダー・グプタ氏、在日本朝鮮社会科学者協会会長の李英洙氏が講演し、静岡チュチェ思想研究会会長の鈴木敏和氏が閉会の挨拶をおこないました。
その後、懇親会がおこなわれ、朝鮮の自主的平和統一を支持する日本委員会事務局長の水谷研次氏らが挨拶し、日朝音楽芸術交流会会長の池辺幸惠氏が歌とピアノ演奏を、アイヌ伝統工芸家の成田得平氏がアイヌ古式舞踊「剣の舞」を、東京・朝鮮歌舞団が歌と踊りを披露しました。
以下に、鎌倉孝夫氏、サドナ・ハリシュ氏、李英洙氏の講演要旨を紹介します。
ウクライナ情勢をどうとらえるか-自主・平和確立のために
埼玉大学名誉教授 鎌倉孝夫
日本政府やマスコミは、ウクライナ事態の原因はプーチン大統領による侵略にあるとあやまった報道をつづけている。ロシアが派兵しているのは、親ロシア政権であるウクライナ東部のドネツクなどにたいするウクライナ軍の攻撃への対抗であり、2015年の「ミンスク合意」を守らないゼレンスキー政権にたいする対抗であった。
米国はNATOとともにロシアの脅威をあおり、ゼレンスキー政権に軍事・経済援助を通して戦争を長引かせている。また、米国は軍産複合体の利益のためにハイマースのロケット砲やファイザーなどの生物化学兵器の開発などを追求している。ロシアへのきびしい制裁を通して米国の多国籍企業をもうけさせている。
米国は昨年の国防戦略においてロシアと中国を戦略的競争相手と規定し、米・欧・日・豪・韓との結束により対処しようとしている。
プーチン大統領は、脅威が生じた場合、核兵器の使用もありうると公言した。
朝鮮では模範とすべき国づくりがおこなわれている。人民大衆第一主義、自力更生、各国との相互尊重と連帯を確立して社会主義建設をすすめてきた。
そのなかで朝鮮の核兵器に対する姿勢が昨年採択された「核戦力政策に関する法令」のなかにあらわれている。そこで核戦力は徹底した防衛のためのものであるとはっきりと規定されている。たんなる宣言ではなく、法令として位置付けたことに決定的歴史的に重要な意義がある。
自力更生、国家の繁栄、自主と世界平和
元デリー大学女子大学院校長 サドナ・ハリシュ
世界平和、地球の平和とは、すべての民族や国家、人民のあいだで、自主、平和、幸福が享受されている状態を指します。
わたしたちは、いまなお、超大国によってつくりだされた内外の危機、不安と恐怖、経済的、社会的、政治的不安定、民族や国家間の戦争と憎悪という、他の時代とは異なる複雑な状況下である21世紀最初の四半世紀に生きています。
「外交関係に関する地球紛争追跡者」会議の資料にもとづくと、現在、世界では27の戦争、紛争が起きています。
チュチェ思想は独創的な哲学であり、マルクス主義やレーニン主義の唯物論的、歴史決定論的思想とは一線を画しています。
チュチェ思想は自立的民族経済を建設することを通して、国を自主化し、社会主義を確立することを教えています。
金日成主席は、「自主独立国家を建設するうえでの重要な要因は、経済的自立を達成することです」と述べ、経済的自立を強調しました。自立的民族経済は、いかなる外国の支援を受けることなく、自国の資源と自国人民の技術を基本とした経済です。
人民一人ひとりの全面的な発展が社会発展の鍵となっています。金日成主席は、国の平和と人々の幸福は、強力な軍事力の支えによって実現される政治的自主によってのみ達成できるものであると明らかにしました。
朝鮮半島は恒常的に緊張しているがゆえに、朝鮮では、軍事力、核武力の強化がますます必要とされています。
金正恩総書記は、このような状況を認識し、「事大主義と外部勢力依存は亡国の道であり、自強の道だけがわが祖国、わが民族の尊厳を守り、革命と建設の活路をきり拓く道です」と強調しています。
事大主義と外国勢力への依存は危険であり、政治における自主、経済における自立、国防における自衛を実現しようとする人民の夢を台無しにします。ここに自力更生の重要性、チュチェ思想の核心があります。
金正恩総書記が描く朝鮮と世界の未来図
在日本朝鮮社会科学者協会会長 李英洙
2010年9月の党代表者会議から2016年5月の第7回党大会までが、金正恩総書記を後継者に推戴し、チュチェ偉業を継承、発展させる時期となる。その後2021年1月の第8回党大会において社会主義強国建設の目標と綱領を示し、自尊と繁栄のわが国第一主義時代をきり拓いた。その後と現在に至る時期は、社会主義の全面的発展段階の完成期へと移行した。
ここで15年構想が明らかにされる。それは人民大衆中心の世界、大変革の世紀をきり拓く「新時代創造構想」と言える。朝鮮の未来図が「全人民が食・衣・住の心配をせず、無病息災で睦まじく暮らす社会、誰もが助け合い導き合いながら喜びも悲しみも共にわかちあう共産主義的美徳と美風が発揮される社会」と表徴された。また世界の未来図としては、支配と従属、侵略と干渉がない世界、すべての国と民族の自主権と平等が保障された世界、すなわち自主化された世界を示した。
金正恩式未来図の特徴は、金正恩総書記の革命思想、強い歴史的使命感と責任感、卓越した資質と能力、独創的な思想理論活動が一つに集約され誕生した未来図であるといえる。金正恩総書記は未来から現在を考察して思想理論を提示する未来型の指導者だといえる。