金正日総書記生誕記念チュチェ思想全国セミナー開催

金正日総書記の生誕を記念して2月12日、チュチェ思想全国セミナーが大阪市において盛大に開催されました。

セミナーには、金日成金正日主義研究全国連絡会代表世話人の家正治・神戸市外国語大学名誉教授、チュチェ思想国際研究所の尾上健一事務局長をはじめとして北海道から沖縄に至る全国各地のチュチェ思想研究者ら110名が参加しました。

ロシアの研究者がオンラインで講演し、朝鮮やモンゴルなど在日外国人も参加してチュチェ思想セミナーを開催したことは、世界と日本の自主化、平和化の運動を促進するうえで大きな意義がありました。

セミナーには、朝鮮社会科学者協会、沖縄大学名誉教授の仲村芳信氏などからメッセージが寄せられました。

ロシア科学アカデミー東洋学研究所部長のアレキサンドル・ヴォロンツォフ氏は、ウクライナ紛争はNATO(北大西洋条約機構)の拡張戦略がもたらしたものであり、ロシアは自主と自主権のためにたたかっていると述べました。→詳細はこちら

セミナーは、ウクライナにおける戦争をめぐってロシアに対する悪宣伝が執拗におこなわれているなかで、米欧の帝国主義勢力によってひきおこされた戦争の反動的本質を広範な人々に知らせるうえにおいて大きな意義がありました。

また今回のセミナーにおいては朝鮮大学校准教授の徐順愛氏が、こんにちの発展する社会主義朝鮮の礎をきずいたのが金正日総書記であると述べ、自力で難関を正面突破し、社会主義の全面的発展のためのたたかいの成果を写真も使って紹介しました。金正日総書記は1990年代はじめソ連東欧社会主義が崩壊し、帝国主義勢力の朝鮮圧殺策動が激化するなかでも社会主義を確固と堅持し、苦難の行軍をもって難局を乗り越え、こんにちの礎をきずきました。

自主、平和を求めて帝国主義の戦争策動に反対し果敢にたたかっているロシアや朝鮮をはじめとする国々と連帯することが重要になっています。

島根県立大学大学院教授の福原裕二氏がおこなった日朝関係に関する講演では、友好運動をおしすすめるうえにおいては、運動をおこなう主体である日本人自身が友好の対象である朝鮮に対する偏見を捨て、素直に見ることが大切であることについてアンケート調査結果やみずからの訪朝経験にもとづいて講演しました。

講演会後、日本、朝鮮、モンゴルの歌手と演奏家が各国の歌や楽器演奏、踊りを披露し、参加者に深い感動と励ましを与えました。

全国セミナーにおけるオンライン講演

ヨーロッパと世界における正義と自主のためにたたかうロシア

ロシア科学アカデミー東洋学研究所部長

アレキサンドル・ヴォロンツォフ

親愛な同志と友人のみなさん。

わたしははじめに、このような集まりの場に招請してくださったチュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一先生にわたしの心からの感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。わたしにとって、金正日総書記生誕81周年にさいして開催された全国セミナーで、みなさまとお会いし講演ができますことは、大変光栄なことです。

わたしは、古くからの友人のみなさん、同志のみなさんにお会いできて嬉しく思います。残念ながら、不可抗力の事態により、わたしは直接的にセミナーに参加することはできませんが、それでもオンライン形式で参加できますことを嬉しく思います。

金正日総書記の生誕記念日にさいして開催されたチュチェ思想に関するこの集まりは、きわめて時宜に適ったものです。わたしは、みなさん方と思いを共有化していると確信しています。

ロシアで高まるチュチェ思想に対する関心

いま、ロシアにおいては、朝鮮とチュチェ思想にたいする関心が高まっています。たとえば、昨日、わたしは、あるラジオ番組に参加するよう招待されました。それは、ロシアの大手企業「スプートニク」が後援する長寿番組です。数日前に平壌でおこなわれた軍事パレードについて特集番組が組まれました。番組制作担当者はわたしに、多くのロシア人から、チュチェ思想とはどのような思想であるか解説してほしいという要請がきていると伝えてきました。

このようにチュチェ思想について語ることのできる場をもてることは嬉しいことです。チュチェ思想についてよく理解しているみなさん方の前ではありますが、チュチェ思想の重要な内容、真髄について簡単にふれさせていただきたいと思います。

自主性、自主権は、チュチェ思想の重要な内容です。こんにち、国家と人民の自主性のためのたたかいは、きわめて先鋭化しています。

ウクライナ紛争の原因はNATOの拡張戦略

わたしは、グローバル化された世界におけるロシアのたたかいについて述べます。

ご存知のように、こんにちの世界で、自主と自主権を真に行使している国は、ごくわずかの国です。朝鮮や中国をあげることができるでしょう。自由にやりたい放題のことをやっているという意味で、米国があります。ご存知のようにEU諸国は、米国と他の西側諸国によって完全に支配されています。EU諸国全体が米国の指揮下にあります。

ロシアは、武力行使の手段による、自主と自主権のためのたたかいをせざるをえません。米欧は、いわゆる「ロシアによる、いわれなき侵略」という言い方で、ウクライナ紛争をみせかけようとしています。しかし、実際には、ウクライナ紛争は、NATOのとめどもない拡張がもたらした結果です。NATOは、昨日、ロシアを包囲したとすれば、今日は、すでに東アジアに拠点を移しているのです。

周知のとおり、NATOはいま、米国の支配下にあります。NATOはいまではその本来の目的を忘れてしまいました。NATOは、北大西洋条約機構です。つまり、本来の「北大西洋」の条約機構であることを忘れてしまったのです。NATOは、いまや全世界に拡張しようとしています。ロシアや中国を包囲するために、NATOが東アジアに拡張していることもその一環です。NATOはまた、日本や韓国を自己の活動体系に取り込みました。ロシアのたたかいは、本質的に世界的な問題なのです。

主権平等と民族性を尊重する世界を実現するために

こんにち世界には政治、軍事における二つの路線があります。

一つは、米国の指揮下で西側諸国が一極化を拡大しようとする路線です。

もう一つは、各国の主権平等や民族性を尊重する多極化した世界を実現するための路線です。

米国の世界戦略の重要な内容は、いわゆる「米国の特権的な地位」を維持し拡張することです。米国は、みずからを特別な国、特権的な地位を有する国、他国とは異なる国であると主張しています。オバマ大統領が、「米国の特権的な地位」について言及したことにつづいて、トランプ大統領も同様の発言をおこないました。米国は、自国が特権的な地位を有する国なので、世界を主導する必要があるというのです。米国の世界戦略について、もっともあけすけな言い方をしているのが、現バイデン政権の国家安全保障担当大統領佐官のジェイク・サリバンです。

ジェイク・サリバンは、論文のなかで、「米国の特権的な地位」について論じました。「米国の特権的な地位」とは、米国はもはや、各国の民族性や歴史的同一性の問題にかかわる余裕も集中力もないとし、米国は米国式の自由と民主主義を世界にひろめなければならないと強調しました。このことは、米国は、米国以外のすべての国が自己の個別の特徴をもつことを拒否することを意味します。そして、米国民以外の人たちは、自己の歴史、自己の民族的価値や民族性を大切にする権利を否定されていることを意味します。

例えば、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアの政策を明らかにし、定義し、各国の「歴史的同一性」を認めることは普遍的な原則であると強調しました。プーチン大統領は、米欧が自己の個別目的のために、だれかれなく自己の道具として利用しようとするのは間違っていると指摘しました。米欧に反対しないならば、自己の自主性を擁護しようとする人たちは、米欧に完全に抹殺されてしまいます。

こんにち、米国および他の西側諸国は、分断政策をとりたいと願っており、特権的な地位を有する一握りの国とその追随国によって支配される世界にしたいと願っています。そのために、「白黒がはっきりした」線引きをする手法をとっています。この手法により、世界は、米国が承認する「正当な」民主主義国と、ロシア、中国、イラン、ベネズエラ、キューバ、朝鮮のような「邪悪な専制国家」で構成されることになります。

米欧は、一方は「民主主義」、他方は「専制主義」と世界を二分したいのです。

ロシアは未来の世界のためにたたかっている

しかし、ロシアはこれまでも、そしていまも、参加国の主権平等と民族性を尊重することを基本原則とする国連憲章が順守されるよう、国際的なとりくみの先頭にたって努力してきました。

したがって、こんにち数にして世界の75パーセントを占める国々が、米国の強い圧力があるなかでも、米欧のやり方にしたがわず、「反ロシア制裁」に加わらなかったことは、理にかなったことです。これらの国々は、ウクライナ紛争にたいしても公平な立場に立っており、この問題にたいする各々の見解をもっているといえます。

ロシアは、未来の世界のために、いまたたかっています。この未来の世界は、一人ひとりの声に耳を傾け、一人ひとりの意見を尊重する世界であり、それぞれの国や社会、文化や制度、主義や信条を尊重する世界です。このような土台のうえに、わたしたち自身の責任性によって、わたしたちは、人類文明が調和をなす、未来の世界を実現していくことができるでしょう。