―東京、大阪、愛知で「新年の辞」の研究会を開催―
人民愛で貫かれた金正恩委員長の思想と活動

 1月3日、東京において金正恩著作研究会が主催して金正恩委員長の「新年の辞」に関する研究会が開かれ、北海道、福島、群馬、埼玉、東京、長野、愛知、石川、高知のチュチェ思想研究者が参加しました。
 研究会では、チュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏が講演しました。以下に要旨を紹介します。
 1月1日、金正恩委員長は、「新年の辞」を執務室において朝鮮労働党と共和国の旗、金日成主席と金正日総書記の肖像画を背景にして発表しました。
 ここに金正恩委員長の透徹した思想的純潔さがあらわれています。これほどまでにチュチェ思想、先代の革命の指導者、人民に忠実な人をみることはできないといえます。
「新年の辞」は、ひと言でいって、人民が願うこと、人民の幸せのためにはどうすればよいかという目標と方途が明らかにされているといえます。
「新年の辞」は大きく三つの内容で構成されています。
 一つは、チュチェの社会主義建設を人民に依拠して勝利させていくということです。二つは、民族の世紀的な念願である祖国統一をやり遂げていくことです。三つは、世界の自主化と平和化を実現することです。
 この三つはいずれも人民の深い願いです。
 冒頭の挨拶で金正恩委員長は、「愛する全国の人民と人民軍将兵のみなさん」と呼びかけています。
 金正恩委員長の思想は、人民にたいする愛情で徹底しています。人民を愛しているからこそ人民のためにすべてを捧げることができるのです。

自主路線によってもたらされた昨年の成果

 金正恩委員長は、はじめに昨年を総括し、自主路線と戦略的決断によって内外の情勢に大きな変化がおこり、社会主義建設が新たな段階にはいったと述べています。
 社会主義建設で新たな段階をきり拓くことができるようになった要因の一つは、自主路線にあったということです。また戦略的決断によって対外関係で劇的な変化をもたらすことができたということです。
 そのきっかけになったのが昨年4月の朝鮮労働党第7期第3回総会で並進路線の勝利を宣布し、経済建設に集中する新たな路線を提起したことでした。
 昨年はまた、金正恩委員長の主動的で積極的な努力によって朝鮮半島に平和へむかう気流が形成され、その結果、金正恩委員長と共和国の国際的威信が高まったのです。
 また9月の慶祝行事を通じて全社会の思想的一色化と党と人民の一心団結を実現し、社会主義の勝利のためにたたかおうとする朝鮮人民の意志を世界に誇示したと述べられています。
 そして自己の偉業、チュチェ偉業の正当性と国家の不敗の力について確信したと総括されています。

人の潜在力を引き出して課題を遂行していく

 今年の課題の第一は、社会主義建設です。
 金正恩委員長は、今年われわれには自立的発展能力を拡大強化して、社会主義建設の新たな前進のための確固たる展望を開くべき闘争課題が提起されていると述べています。
 金正恩委員長がトランプ大統領に送った手紙の返事の内容が報道されています。
 それによれば、トランプ大統領は、金正恩委員長のことを朝鮮の潜在力をよく知っている指導者であると述べており、注目に値します。
 金正恩委員長は、党の戦略的路線をとらえて自力更生、不敗の精神でたたかうとき、国力は倍になり、人民の夢と理想は立派に実現すると指摘しています。そして「自力更生の旗を高くかかげ、社会主義建設の新たな進撃路を開いていこう」がスローガンであると述べています。朝鮮は今までも自力更生してきたけれども、今後ますます自力更生しようという立場があります。
 今年の課題をやり遂げるための方途としてまた、人材と科学技術が社会主義建設で大飛躍を起こすための主たる戦略的資源、武器であると提起しています。
 人とは、人の思想と力であり、いままでの技術や経験ではないということです。
 人を現象的にみるのか、大きな潜在力を秘めた人と見るのかによって、その人の力が発揮されるか否かが変わってきます。

人民の心の声に耳を傾ける

 つぎに社会主義国家の政治的・思想的力を全面的に強めなければならないと提起しています。
 そのためにはチュチェの人民観、人民哲学を党と国家の活動に具現して広範な大衆を党の周りに結集させなければなりません。
 また党と国家の機関は、どんな仕事をするにしても人民の利益を最優先、絶対視し、人民の心の声に耳を傾け、人民が望み、恩恵を受けることのできることなら万事をさしおいて取り組み、無条件やり遂げなければならないと提起しています。
 表面的な声ではなく心の声を聞くことが重要です。 
 また党と大衆の渾然一体を破壊し、社会主義制度をむしばむ権柄と官僚主義、不正腐敗は大小を問わず一掃するための闘争の度合いを強めなければならないと提起しています。
 人民のために努力する思想や行動が蓄積されていかないと、地位が上がれば人民の利益を侵害するようになっていきます。かつては「民主主義」を唱え、社会主義政権を打倒するといって先頭に立った青年が、いまでは政権を担い独裁を強めている国があります。
 つぎに社会主義文明建設において、全社会に革命的学習気風を打ち立てることについて述べています。
 朝鮮では毎週土曜日は学習する日になっています。
 また文化的生活気風を打ち立てることが重要です。
 みんなが歌を歌ったり、スポーツをおこなったりすることが大事です。
 戦闘的課題を遂行するためには革命の指揮メンバーである幹部がかたい決心と覚悟をもって奮発しなければなりません。
 党政策貫徹の主体は民衆であり、現実をよく知っているのも民衆です。幹部は実際に人々のなかにはいって、自分の目で確かめ、実態を全面的に分析しなければなりません。
 大衆のなかにはいって、彼らと寝食をともにしながら、彼らを立ち上がらせていくことが大切です。事務室にいてパソコンを使い、メールや電話で情報を収集すれば活動になるのではありません。
 また党の構想に自分の理想や抱負を追いつかせ、たえず実力を高め視野を広げ、すべての活動を完全無欠にやり遂げる洗練された組織者、強靭な実践家にならなければならないと提起しています。
 幹部は祖国と人民のために夜を徹して思索を重ねなければならないのです。

社会主義をめざす国との連帯を強める

 今年の課題の第二は、南北統一をやり遂げていくことです。
 韓国にたいして米国との合同軍事演習をしてはいけないと具体的に提起しています。
 また外部から戦略資産(核兵器)を持ち込んではいけないと提起しています。
 今年の課題の第三は、対外関係で成果をもたらすことです。
 金正恩委員長は、三度にわたる中国訪問とキューバ代表団の朝鮮訪問は、社会主義諸国間の戦略的な意思疎通と伝統的な親善協力関係を強化するうえで特記すべき出来事となりましたと述べています。
 戦略的意思疎通とは、社会主義をつくるということです。
 共和国は、多少問題があったとしても、社会主義をめざそうとする国を助けて連帯を強めようとしています。
 金正恩委員長は、6・12朝米共同声明で明らかにしたように、両国間の新たな関係を樹立し、朝鮮半島に恒久的で強固な平和体制を構築し、完全な非核化へとすすむのは、党と共和国政府の不変の立場であり、わたしの確固たる意志であると述べています。
 日本を含む周辺諸国と国際社会は、朝鮮半島の肯定的な情勢発展を促進しようとする朝鮮の誠意ある立場と努力を支持し、平和を破壊し、正義に逆行するあらゆる行為と挑戦に反対してたたかわなければならないと述べています。
 「新年の辞」は最後につぎのようにまとめられています。
 わが国家はいかなる外部の支援や誰かの助けがなくても、いくらでも朝鮮人民の強大な力と努力によって、朝鮮式社会主義発展の道にそって力強く前進していくことができるという真理を確信しているということです。
 そして、今年もいろいろな障害や挑戦にぶつかるでしょうが、なんぴともわれわれの決心と意志、力強い進軍を逆転させることはできないであろうし、朝鮮人民はかならずや自分の美しい理想と目標をりっぱに実現するというのです。
 金正恩委員長は、最高に美しい理想、目標をもち、それにむかってすすもうとしています。
 金正恩委員長の思想と活動に学び、日本を自主化、平和化するための活動を積極的におしすすめていきましょう。


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 1月5日、アウィーナ大阪において新春学習会が金日成金正日主義研究関西連絡会の主催で開かれました。

 学習会には、家正治・神戸市外国語大学名誉教授、池辺幸惠・日朝音楽芸術交流会会長をはじめチュチェ思想国際研究所の尾上健一事務局長らが参加して開かれました。
 まず、家教授が1月1日に発表された「新年の辞」についてつぎのように報告しました。
 「新年の辞」は、前半は国内での発展について述べています。そして、後半では、北南関係、さらにまた対外関係として中国との関係や朝米関係について述べています。
 金正恩委員長は、まず人民と人民軍将兵にたいして、つぎに南の同胞と海外同胞にたいして、そして、各国の元首と友人にむけて挨拶しています。
2018年は、4月に開かれた党中央委員会総会を重要な契機として、9月には創建70周年を盛大にお祝いし、全社会の思想的一色化と党と人民の一心団結を実現したと述べており、自主的経済の土台をいっそう強化したとさまざまな分野について大きな成果があったと述べています。
 今年の課題は、「国の自主的発展能力を拡大強化して、社会主義建設の新たな前進のために闘争課題が提起されている」ということが述べられています。
 共和国における今後の課題のスローガンとして、「自力更生の旗を高くかかげ、社会主義建設の新たな進撃路を開いていこう」と言われています。これは、飛躍の原動力となったものですが、自力更生を繁栄の霊験としてとらえて、すべての部門で革命的高揚をおこすべきであるということです。自力更生の旗をかかげることが社会主義建設で新たな進撃路を開くのであり、朝鮮革命の全過程においてこれが貫徹されるべきだと強調しています。
 1970年、国連総会で友好関係宣言を採択しています。まだ東西対立があるときに、国家間の関係における規律と原則について述べられました。
 わたしはチュチェ思想やその実践というのは、この友好関係宣言とひじょうに密接な関係があると思います。
 「新年の辞」に述べられていることは、単なる共和国のことだけではなくて、国際的規範とも結びつく内容であると思っています。
 日本においては、保守と革新ということが言われますが、わたしは、反動と民主勢力という関係で見ています。
 「新年の辞」をよむと自主性を実現するということは、自立的経済を達成していく、朝鮮式社会主義を実現していくということであると思います。そのような点が日本においても大きな参考になるのではないかと思います。
 チュチェ思想がいう自主性の成果が、共和国および朝鮮半島においては強くあらわれているということであると思います。
 日本においても、どういう手順、どのような観点で成果があげられたかということを日本人として学んでいく必要性があると思います。日本において適用すべきところは適用していくということが必要ではないかと思います。
 参加者は、今年もチュチェ思想をいっそう研究していこう、まわりの人に普及していこうと話しあいました。


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 1月6日、名古屋における学習会には、教員や看護師、大学生などが参加しました。
 学習会では、チュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏が「新年の辞」について報告しました。報告を聞いた参加者からは以下のような感想が述べられました。
 社会主義をめざした国でも、いわゆる左派勢力が政権を取った国でも、いまはどの国も挫折を余儀なくされていることを知ることができました。しかし、朝鮮はそのような状況のなかでも、そのような国を助け、団結と協力を強めようとしていることがよく理解できました。それこそチュチェ思想だと思います。
 私の国のモンゴルも以前は社会主義国でしたがいまはそうではありません。私はチュチェ思想の学習をはじめたばかりです。先日は金正日総書記の著作『社会主義は科学である』を学習しました。そして、本日の学習でも、「多くの国での社会主義の崩壊は、科学としての社会主義の失敗ではない」ということを知ることができました。もっともっと社会科学としてのチュチェ思想を学んでいきたいです。
 社会主義をめざしていた国が挫折を余儀なくされているのは、その国の人民が「自分たちこそが社会の主人なのだ」という自覚をもつことができなかったことが一番の理由だと知ることができました。私たち日本人も同じです。自分たちこそが自分と社会の主人となって活動していくことが求められていると思います。毎日の自分を問い直すことからはじめたいと思います。

 (要旨、見出し、文責編集部)