自主時代をひらく朝鮮人民と沖縄県民の闘い
 沖縄大学名誉教授
 平良研一

2018年、世界の情勢が混迷を深めているなかで、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)をめぐる情勢においては画期的な喜ばしいできごとがありました。南北朝鮮の首脳会談、朝米会談が実現し、世界平和への明るい展望がひらかれました。
 
 災害の多発―防災思想の必要性 
 
 2018年は1年の世相を1文字であらわす漢字として「災」があてられていたように、災害の多い年でした。西日本豪雨や洪水、北海道胆振東部地震、台風による被害などの自然災害が多発して多くの人が犠牲になりました。あらためて哀悼の意を表したいと思います。
 あいつぐ台風や地震の被害をこうむり、まさに災害列島日本と言われるなかで、自然災害に対応できるそなえが日常的に必要であることは言うまでもありません。一般的に自然災害には勝てないと言われますが、被害を最小限にとどめるように防災のあらゆる手立てを講ずることが国民から託された政府のつとめだと言えます。
 8年前の2011年3月11日、東日本大震災による津波の被害は甚大でした。とくに福島第一原子力発電所の破壊による放射能飛散の被害は筆舌に尽くしがたいものです。わたしたちは、東日本大震災による甚大な被害の影響がいまもつづいていることにより、国をあげての防災の科学技術思想が必要なことを痛感させられます。わたしが思想と言うのは、たとえばいかに国民の求めに応じて防災に関する調査研究をふくむ防災の手だてを国民のために講じるのかということであり、国民を救援するための予算も十分に用意するという積極的な政策のことです。
 わが国、とりわけ安倍政権は防災のための施策に必要な財源の確保をしておらず、防災のための思想がひじょうに貧弱だと言えます。福島第一原発の事故で多くの犠牲をだし、いまもさまざまな問題を解決できていません。多くの人々が人間の生きる根拠、人間が育ち働く根拠であるトポスを失って根なし草のように漂流しています。東日本大震災による原発事故から8年近くもたつのに、いまだに避難者や仮設住宅入居者が多くいる実態は、いまの安倍政権に人間的な政治、民主主義が欠けていることをあらわしています。
 日本政府は朝鮮にたいする経済制裁をつづけています。チュチェ思想のもとに人間的な社会主義を堅持している朝鮮と大きなへだたりがあります。
 
  国民不在の安倍政権の政策
 
 2018年12月18日、今後10年間の防衛政策を規定する防衛大綱と、それにしたがい2019年から2024年まで今後5年間の中期防衛力整備計画が閣議決定されました。中期防衛力整備計画の軍事予算をみると、アメリカの要求にしたがい、高額兵器を購入することが中心になっています。中期防衛力整備計画における今後5年間の防衛費の総額は27兆5000億円です。2014年度からの5年間の防衛費の総額は24兆6700億円であり、2兆円以上も上回っています。政府は国民の血税をまさに湯水のごとくつかうことにいとまがないのです。
 また2019年10月から消費税が10%に増税される予定です。社会保障の充実にふりむけるなどと言い、消費税を上げることがいかにも国民の利益につながるかのように宣伝し、国民をあざむいています。実際は法人税が大幅に減税され、国民の暮らしがよくなるわけではありません。安倍政権の政策は、国民不在の悪質なものです。
 消費税増税にともなう配分の仕方も、国民が真に必要としているものは何かについて考えておらず、根本的な思慮に欠けたものとなっています。国民のことを意図的に考えないようにしていると言ったほうがよいかもしれません。
 日本政府は、日本をとりまく危機的な状況がつづいていると言い、軍備の増強をはかっています。危機がある、抑止力を強化する必要があるという1点張りで軍備を強化しています。情勢の変化を冷静に読みとり、いま以上の軍備の強化がほんとうに必要なのかどうかを考えようとはしていません。
 日本政府は、アメリカの従属下で、軍事力増強をはかると言い、依然として思考停止の状態です。まったく考えない、冷静な判断をしない状態がつづいています。
 対米従属のもとで国家による浪費がつづき、国民の格差は広がっています。平均所得の低さゆえに不満が鬱積しています。いわゆる普通の暮らしができない相対的貧困の割合が拡大しています。平均所得の低下、非正規雇用の拡大などからくる日本経済の閉塞感がただよっています。現在、多発するさまざまな事件、事故の背景には、貧困問題などの格差社会の影響があることは言うまでもありません。ところが政府は真正面からとりあげようとせず放置したままで、マスコミは格差問題を報じることなく中流意識を植えつけたままでマスコミが奏でる幻想のなかで国民の声はかき消されています。
 一方で、格差が広がる状況に危機感をおぼえて金融資本の支配や権力の策謀を見ぬき、たたかう気配が頭をもたげてきています。矛盾が渦巻くなかで、金融資本の支配や権力の策謀とたたかう動きは世界的な傾向になっています。2016年のアメリカ大統領選挙において、政治上の伝説になったサンダース現象がありました。バーニー・サンダース氏は、民主党の予備選で、ヒラリー・クリントン氏の勝利が決まっているにもかかわらず、「すべてのアメリカ人がきちんと働けば普通の暮らしができる社会の実現を」と主張し、連日1万人近くの人々を集めました。負けが決まっていた候補のために、連日1万人近くもの人々が集まった例はありませんでした。
 アメリカで民主社会主義を名乗り、新自由主義、金融資本の反人民的な傾向に反対する運動がおきています。実際トランプ政権下のアメリカにおいてマルクスの著した書物が読まれるようになってきたということです。現実をかえたいという傾向があらわれています。
 
  破綻する欺瞞の辺野古新基地建設
 
 つぎに沖縄の基地問題、とくにいま焦点になっている沖縄の辺野古基地問題についてあらためて考えたいと思います。沖縄の基地問題を考えるのは、この問題が日本の政治の現実をうつしだす鏡であるからです。また現実をどのようにかえていくのかという問題性をふくんでいるからです。
 辺野古新基地建設問題は、当初世界一危険と言われた米軍普天間飛行場を撤去して、かわりに基地の国外、県外への移設がとりあげられていました。
 現在、普天間飛行場を辺野古に移すということになっています。V字型に離陸用と着陸用の滑走路を2本整備し、住宅地上空を避ける計画を普天間飛行場の代替施設として位置づけました。面積は縮小され滑走路も短縮されたものでした。しかし、現在の普天間飛行場にない基地機能が追加される構想です。大浦湾側に護岸を整備予定で、強襲揚陸艦が接岸可能な軍港機能をかねそなえた本格的な軍事基地を構想しており、弾薬搭載エリアも設けられ基地機能は強化される計画です。実際は、米軍は普天間飛行場をこえる巨大基地をはじめからもくろんでいたと思われます。
 辺野古基地が1度できたら、おそらく100年も200年も固定化され、つかわれることになります。いまよりはるかに危険で、北部地域の美しい環境を破壊してしまいます。沖縄全体にいちじるしい損害、被害をもたらすことはまちがいありません。
 沖縄県民の意思をまったく無視して、ハイテク軍事基地の建設を許してはなりませんし、絶対に阻止しなければなりません。
 さもなければ日本は戦争を許し、アメリカへの隷属をますます深め、人間の自主、主体を確保し生きる根拠となるようなトポスを失うことになります。安倍政権は、人間性を否定する軍事基地建設を違法ともいえる国家暴力を行使して強引にすすめています。日本政府は、県民がこぞって反対している理由を真剣に考えることなく、普天間飛行場の危険性をうわまわる新基地建設を、辺野古は唯1の移転先というようなフレーズを呪文のようにとなえ、強行しようとしています。
 2018年12月14日、ついに埋め立ての土砂が辺野古の海に投入され、本格的な工事がはじまりました。県民のあきらめをさそう卑劣で稚拙な行為だと言えます。安倍政権は権力をつかい、ギリシャのシーシュポスの神話のように、いくらがんばっても無駄であることをさとらせようとするかのように古典的なやり方をしています。神々の怒りを買ったシーシュポスは山の上に石を運んでいく罰をうけます。シーシュポスが山頂に石を運び上げた瞬間、石はその重みでもとのところにころがり落ちてしまい、同じ動作を死ぬまで永遠にくりかえすのです。
 埋め立ては、環境保護の面からも史上最悪と言われています。辺野古大浦湾1帯は、珊瑚礁群が広がり、生物体の生息が豊かなところです。したがって土砂が投入されれば、珊瑚礁の上に覆いかぶさり、珊瑚礁は完全に破壊されてしまいます。珊瑚礁は海の宝と言われています。海の宝を完全に破壊することになります。環境保護の面でゆゆしき事態であり、アメリカの国家環境政策法にもふれる重大な違法行為で国際的にも問題にすべきです。
 アメリカは環境保護を何よりも重視する国として知られています。貴重な生物の殺傷をかたく禁止しています。日本政府は2018年12月、鯨の資源管理を担う国際捕鯨委員会(IWC)から脱退しました。いま日本の捕鯨が問題になっています。かつてアメリカは捕鯨大国であり、鯨の油をとって燃料にするために日本の海峡周辺にまできて捕鯨をしていたことがあります。
 大浦湾にはイルカに似た貴重なジュゴンが生息しています。ジュゴンは人魚とも呼ばれています。アメリカや日本政府は環境を破壊し、珊瑚礁やジュゴンをまったく考慮しておらず、どうでもよいと考えているのです。
 
  日米の「抑止力」思想の欺瞞
 
 アメリカが日本に米軍基地をつくり勝手放題にふるまっていることは、国際法違反だと言えます。そもそも戦後も戦勝国が敗戦国に基地をおいて自由につかう、支配的な使用をするということ自体がハーグ陸戦条約では禁じられています。
 ましてや戦勝国であるアメリカが敗戦国である日本に史上最大規模の基地建設をすることは何を意味するのでしょうか。欺瞞的なアメリカの思惑が依然として根強くあります。戦争の火種をまいているのは、つねにアメリカのほうです。平和のための基地だと言いつつ、実際は抑止力ではなくつねに敵を想定し攻撃力を高めているのです。アメリカの抑止力とは、いつでも攻撃に転化しうる欺瞞の戦略そのものです。
 アメリカの言う抑止力は朝鮮の言う抑止力とはまったくちがうものです。アメリカが軍事力強化をやめないのは、言うまでもなく兵器を商売にして、とんでもない高額な取引をおこなって儲けているからです。いわゆる死の商人と呼ばれる者がいます。アメリカの死の商人が大手をふって世界を闊歩している状況です。
 日本も武器を商売にしています。日本の場合、武器の完成品は売っていませんが、原子力発電所の発電の技術をいかして海外の原子力発電所建設にかかわろうとしています。たいへん危険なことです。原発から排出されるプルトニウムが核兵器の材料になるというのは、いま誰でも知っていることです。原子力発電所建設を推進している日本も死の商人だと言えるわけです。
 原子力発電所建設を推進している日本は、アメリカの戦争政策に加担していることになります。安倍政権が憲法を改正し戦争できる国にしようとする動きはきわめて危険だと言えます。
 ロシアとの関係では北方領土の問題があります。プーチン大統領は、日本はアメリカに従属し主権の水準が疑わしい国であるので、北方領土を返還すればアメリカの基地になることはまちがいなく、返還することはできないと述べています。常識的に考えても、いまアメリカとロシアが対立状況にあるもとでは、北方4島が返還されると、米軍基地がつくられ、ひじょうに危険な状態になるでしょう。ロシアに、いま北方領土を返還しないと言われても仕方がないと言えます。
 日本は、本来沖縄に必要ではない辺野古基地をアメリカの要求に応じてつくらされているわけです。辺野古新基地は欺瞞の基地であり、世界から信用を失うしろものです。俗に言えば、世界の笑い者になっている状態です。日本政府は、横暴な政策をつらぬこうとしており、民衆、県民の平和を求める意思をふみにじっています。
 日本政府の行為は、せっかく南北朝鮮人民が主導してきり拓いている平和の流れを無視するに等しいものです。日本国民が本来求め、めざしている自主、平和の道に逆行するものです。
 
  新自由主義、金融資本の支配による貧困、格差の広がりと深まり
 
 2019年は、昨年ひらかれた平和への道をふみかためていかなければならない年だといえます。
 しかし、わたしたちのまえには辺野古基地問題という重要で困難な問題が壁となってたちふさがっています。辺野古基地問題を打開することなしには沖縄の未来はありません。沖縄の基地をなくさなければ日本の近代立憲国家としての真の自主、独立の道を展望することはできません。
 基本的、本質的な国家のあり方、人民大衆の生き方をとらえなおすために歴史から学ばなければなりません。わたしたちは、戦後70年を経た現在も、戦前、戦中と同様、さまざまな矛盾のなかで生活しています。あらためて歴史をみなおし、歴史から学んでいかなければなりません。
 2018年10月、安倍改造内閣で新たに就任したばかりの柴山昌彦・文部科学相は、会見で教育勅語の認識を問われ、教育勅語は現代風にアレンジして道徳などにつかえる部分があると述べました。歴史的背景やその文面は考えずに、教育勅語はいまも十分つかえると手放しで評価するでたらめな状況がありました。安倍晋3首相をはじめほとんどの閣僚が日本会議という右翼団体に所属しています。日本会議に所属する他の閣僚も柴山文科相と同じような認識であることはまちがいないでしょう。教育勅語を肯定するような歴史認識しか持ちあわせていない政治家が日本の政治をあつかっているので、多くの人々は怒りをおぼえています。
 歴史を反省せず、歴史から学ぼうとしない政治家が、辺野古にみるような植民地的、差別的な発想でヘイトスピーチをしています。ヘイトスピーチをおこなって恥じていない政治家は、朝鮮がどんなに苦難の歴史を歩んできたのかを考えることはしません。朝鮮民族が南北に分断されたことにより、どれほど苦痛、屈辱の歴史を歩んだのか、その後の金日成主席から金正日総書記、そしてこんにちの金正恩労働党委員長へとつながる苦難の歴史に思いをめぐらせることはまずないでしょう。
 ましてや沖縄の米軍基地が朝鮮半島分断の火種や固定化の原因になりかねないということについてもまったく思いもおよばない状態です。
 わたしたちは歴史的経験、成果を謙虚に学ぶことが、民主主義的な生き方と国のあり方を考えるうえで重要な歴史的教訓をあたえてくれると考えます。
 朝鮮はさまざまな試練に耐え、自主をつらぬいてきました。指導者、領袖が民衆を信頼し、また民衆が指導者と心を一つにしてたたかってきました。指導者と党、人民が一心団結の精神で社会主義建設にはげんできました。
 朝鮮では、自強力第一主義をスローガンにかかげています。自強力とは、みずからの力でみずからを強くする力を意味します。すなわち自分の力と能力に呼応して、自主的、主体的な力量を強化して、みずからの将来をきり拓いていく革命的な精神にもとづいています。外部勢力に依存することなく自主の力で民族の尊厳を守り革命と建設の活路をひらいていくということです。
 金正恩委員長は、2019年の「新年の辞」でつぎのように述べていました。
 「『自力更生の旗を高くかかげ、社会主義建設の新たな進撃路をひらいていこう!』、これがわれわれがかかげていくべきスローガンです。われわれは朝鮮革命の全道程でつねに闘争の旗じるし、飛躍の原動力となった自力更生を繁栄の霊剣としてとらえ、社会主義建設のすべての部門で革命的高揚をおこすべきです」
 しかし、こうした革命精神にもとづく社会主義建設の要因ではないものにたいしては選択をせまられたのはいうまでもありません。個人主義的な欲望が集団主義の原則を崩壊させ、体制の終焉をもたらしかねません。1人はみんなのために、みんなは1人のためにという社会を建設するためには、原則をいちじるしくふみはずし、資本主義的な欲望に走り、民衆の利益を侵害するものにたいしては処罰しなければなりません。個人主義あるいは利己主義は、社会主義の重要な要素である集団主義を破壊します。集団のなかでこそ個人のまっとうな能力、人格が形成されます。個人主義、利己主義は集団の利益を阻害し、おしとどめるものにほかなりません。きびしいけれども人間性にたいするとぎすまされた環境のなかで、すなわちチュチェ思想にもとづく人間づくりの政策のもとで社会主義建設はすすめられてきました。
 戦後70余年にわたる不倒の歴史的成果がいまの朝鮮の活路、活気をもたらしているといえます。
 2018年10月、「チュチェで結ぶ日朝友好代表団」の一員として沖縄から5名が訪朝しました。訪朝したみなさんの報告を聞くと、科学技術あるいは医療、教育の分野で朝鮮人民が生き生きと働いてきた成果が実ってきていることがわかりました。日本では、社会主義を堅持している朝鮮が孤立しているかのように報道されています。しかし実際に朝鮮は160?国以上の国々と国交を結び友好的な関係をきずいています。現在、帝国主義による経済制裁が強化されているなかにあって、自立的民族経済の土台をいっそう強化しました。どんな状況にあっても音を上げないどころか、ますます発展していく朝鮮が世界から注目されてきています。
 現在、資本主義国では新自由主義が横行し、銀行などの金融資本が経済を完全に支配しています。1%の独占資本、銀行などの支配階級と99%の労働者、勤労人民とのいびつな格差による貧困状況がうみだされ徐々に不満が鬱積してきています。
 古今東西、労働者は社会発展の原動力です。労働者の働きがなければ何も生みだせないのはあたりまえのことであり、まぎれもない事実です。まさに社会の主人公は、独占的な金融資本ではなく、日々生産労働に従事している労働者、人間そのものです。働くものが主人公であるという認識のもとに世界各地で市民運動、労働運動がおこっています。
 新しい運動のなかから社会主義をめざす潮流が生まれてきていることは注目に値します。すでにそのような動きはフランス、イギリス、ラテンアメリカで活発になってきています。アメリカにおいても貧困問題や銃規制問題がようやく目をひくようになってきています。労働者が人間らしく生きることのできるまっとうな社会を世界の人々が求めています。世界的な民衆運動が芽生えてきています。
 韓国における100万人ろうそく革命の民衆運動の力が文在寅大統領や閣僚に力をあたえ、金正恩労働党委員長との首脳会談につながりました。さらにトランプ大統領との朝米首脳会談が実現し、和平の扉をひらいていきました。
 世界の潮流を読みとれば、混迷する情勢のなかで、金正恩委員長により和解、平和の流れが生みだされてきているといえます。金正恩委員長の人民にささえられてつくった戦略の勝利だと思います。
 
  辺野古のたたかいの普遍性と朝鮮人民の闘争の成果から学ぶ意味
 
 いま世界が混沌としているなかで、社会をかえていく明るいきざしが見えはじめています。社会をかえていく明るいきざしと関連して、果たして辺野古新基地建設に反対する闘争の展望はどうかということです。日本政府の手法は、県民の意志をまったく無視した横暴きわまりないものです。
 辺野古新基地建設で、埋め立て予定海域の大浦湾に存在する軟弱地盤が明らかになっています。新基地建設現場の深い海底に、地質調査が成立しないほど柔らかい地盤が深さ約40mつづいており、危険きわまりない状態です。埋め立て現場の海底が軟弱であるため工事が完成するまでにあと十数年以上かかると言われています。
 政府は全面的見直しを考えるべきであるにもかかわらず、強行1点張りの方針をかえておらず、別の区域で土砂投入を開始しました。
 理不尽な政府の強行姿勢にたいして、玉城デニー知事を先頭に県民はまっこうから対峙しています。設計変更には県知事の承認が必要となっています。政府は違法行為をしてまで強行しようとしています。玉城知事は、権力の蛮行にたいする県民のはげしい怒りをバックにして、新基地建設反対の民意にこたえたいと表明しています。玉城知事は不屈の姿勢で国家権力に対抗しています。
 辺野古新基地建設阻止のたたかいは、日本政府がアメリカと同盟を結び、その隷属下で日本の軍事強化と日米の戦争政策に反対し、日本を自主化し平和化するたたかいでもあります。辺野古のたたかいはけっして孤立したたたかいではなく、世界で芽生えてきた労働者を中心とする民衆運動と共鳴していく、あるいは共闘していくたたかいです。
 とくに朝鮮のねばり強いたたかい、不屈の反帝国主義闘争、自主と平和を求めてあらゆる困難な状況にも屈せずたたかってきた歴史的過程から学ぶことが重要になっています。そこには世界史的に重要な問題、戦争と平和に関する歴史的な教訓が凝縮されているからです。

 (2019年1月12日、那覇市 チュチェ思想新春セミナーにおける講演)