チュチェ思想国際研究所定例研究会 東京で開催

自主の道を歩む朝鮮と連帯し東北アジアの平和をきずく

ロシア科学アカデミーのヴォロンツォフ氏が講演

 

 9月27日、チュチェ思想国際研究所の定例研究会が東京・池袋で開催されました。
 定例研究会は、ロシア科学アカデミー東洋学研究所朝鮮研究部長のアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏を迎えて、ロシアと朝鮮の関係、社会主義建設を力強くおしすすめる朝鮮の現状に学び、自主平和の日本と世界を展望しようともたれたものでした。
 定例研究会には、神戸市外国語大学名誉教授の家正治氏、埼玉大学名誉教授の鎌倉孝夫氏、明治大学特任教授の纐纈厚氏をはじめとする日本の学者、チュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏、金日成金正日主義研究関東連絡会共同代表の花輪不二男氏、金日成金正日主義研究東海連絡会世話人代表の鈴木敏和氏をはじめとする各地のチュチェ思想研究者、朝鮮統一支持日本委員会議長の日森文尋氏をはじめとする日朝友好人士、そして在日本朝鮮人総聯合会国際統一局長の徐忠彦氏、朝鮮大学校学長の韓東成氏、在日本朝鮮社会科学者協会会長の李英洙氏をはじめとする朝鮮の学者などが参加しました。
 
ロシアと朝鮮の協力関係は発展している
 

 定例研究会では、はじめにアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏が講演し、米国は朝鮮敵視策を転換し、誠実に対応しなければならない、朝鮮とロシアの協力関係はたえず発展していると、つぎのように述べました。
 朝米首脳会談において、朝鮮は朝鮮半島の非核化に合意し、寧辺核施設の廃棄を決定しました。それにたいして米国は朝鮮にたいする経済制裁を中止することに合意しました。
 しかしトランプ政権は合意を拒否し、CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)を求めたのです。米国は一方的に朝鮮の核開発の完全放棄を求めていますが、朝鮮にとってとうていうけ入れることのできないものです。朝鮮は核実験や長距離弾道ミサイル試射を中止しており、これを継続する意志があります。
 米国は朝鮮が核をすべて廃棄しなければならないという立場を主張するだけで、みずからは何もしていません。米国は新しい計算方法にもとづき、朝鮮にたいする敵視政策を中止し、信頼にもとづく新しい政策をうちださなければなりません。
 ロシアと朝鮮の経済の協力関係は日増しに発展してきています。
 ロシアのハサンと朝鮮の羅津のあいだに鉄道を建設しています。また朝鮮とロシアは豆満江に新しい橋をかけることについて合意しています。
 ロシアは、朝鮮半島におけるもっとも重要な課題は平和と安定であるととらえています。朝鮮の非核化は平和的な手段で段階的に達成しなければならないものなのです。
 米国は誠実に朝鮮とむきあい、新しい計算方法で対話のプロセスを再開させなければなりません。
 ロシアは、朝鮮が米国にたいして対話的方法で関係を改善しようとしていることを支持しています。
 
科学技術と人材育成によって社会主義強国建設をすすめる朝鮮


 つぎに朝鮮大学校政治経済学部哲学政治学講座長の朴明氏が、金正恩委員長が4月12日におこなった施政演説と9月はじめに全国教員大会におくった談話の内容を紹介したあと、写真や動画を使って、科学技術と人材育成によって社会主義強国建設を力強くおしすすめている朝鮮の現状について、つぎのように報告しました。
 7月初旬から9月初旬までの約2か月間、学生の海外実習の引率として朝鮮を訪問しました。平壌だけでなく地方にも行くことができました。
 現在朝鮮では社会主義強国建設を当面の最大の目標として定めています。課題として科学技術強国、経済強国、文明強国の3つがポイントになります。これらのすべての担い手は人材であり、とりわけ質の高い人材が重要です。人材の質は教育の質によってたもたれるという問題意識から、この何年間かずっと教育の大革命をおこすという目標を金正恩委員長がかかげ、その実現のために邁進しています。
 2019年9月はじめに第14回全国教員大会が開かれ、そこで伝達された金正恩委員長の談話「教員は党の教育革命方針貫徹において職業的革命家の本分を果たしていくべきである」(8月22日)のなかで、全般的な教育水準を高め、社会主義強国、人材強国建設をよりはやくおしすすめていこうと提起されました。
 談話のなかで教育事業における大革命の必要性を2つ指摘しています。一つは、教育事業は国事中の第一国事、社会主義強国建設の生命線であるということです。二つは、すべての学生を富強祖国を担う人材に育てるためだということです。
 朝鮮では科学技術にもとづいて自力更生しているため「経済制裁」があっても発展速度が以前にもましてはやくなっています。
 教育の発展が質の高い人材を育て、その人材が経済建設をおしすすめ、ひいては社会主義強国へとつながることを再確認しました。
 
相互理解と信頼関係の確立が世界平和確立の道
 
 講演につづき、家正治氏がつぎのように意見を述べました。
 現代国際法は世界の自主化や日本の自主化に役立つ武器となります。
 共和国憲法にも「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という言葉があり、人間愛、人類愛をあらわしていると思います。そのような友愛にもとづく社会をつくっていくことが重要ではないかと思います。
 わたし自身これからも、世界の自主化、民主化のためにみなさんとともに頑張っていこうと思います。
 ひきつづき会場を埋め尽くした参加者のなかから積極的に質問や意見が出され、講演の内容について理解が深められました。
 最後にコーディネーターの鎌倉孝夫氏が、定例研究会のまとめをつぎのようにおこないました。
 本日の研究会では二つのテーマについて話しあいました。世界の平和、東北アジアの平和をどう実現していくのかという基本を朝鮮が明確に提起していると思います。朝米関係においては相互理解と信頼関係の確立が、戦争を阻止し平和を確立していく方向になります。
 教育の基本もまさに人間と人間の関係です。おたがいに理解しあいながら、連帯関係、信頼関係をきずいていくことが人間の発展の基盤であり、それを国家と国家のあいだの関係に実現していくことが世界の平和を確立していく道になると思います。
 その基盤になっているチュチェ思想、金日成金正日主義をわたしたち自身のものにしていく必要があります。
 そして現代戦争の危機をもたらしている張本人は何かについても理解を深めなくてはいけません。トランプ米大統領はディールの感覚で朝鮮との話しあいをしていますが、背後にあるのは米国の軍産複合体です。現代帝国主義の大本であるアメリカ帝国主義にたいする認識を明確にしながら、反帝国主義、自主確立の方向を確立する必要があると思います。