自力更生で社会主義経済建設をきり拓く朝鮮

―チュチェ思想とコロナ問題に関して東京で研究会―

5月19日、東京においてチュチェ思想に関する研究会が開かれ、東京をはじめ群馬、静岡、大阪、高知、福岡など各地のチュチェ思想研究者が参加しました。

研究会では、チュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏が金正恩委員長の活動と新型コロナウイルス感染症問題をめぐる最近の動きについて報告し、意見交換がおこなわれました。

事務局長の報告要旨を以下に紹介します。(文責編集部)

金正恩委員長が順川リン酸肥料工場の竣工式に参加

5月1日、世界の労働者の祝日であるメーデーにあわせて、朝鮮で順川リン酸肥料工場の竣工式が開かれ、金正恩委員長が参加してテープカットをおこないました。

順川リン酸肥料工場は、朝鮮が原料も資材もすべてを自力で建設したチュチェの肥料工場です。

順川リン酸肥料工場建設の意義について『朝鮮中央通信』は、金正恩委員長の指導のもと、われわれの力、われわれの技術、われわれの原料に依拠した主体的なリン酸肥料工場が創設されたことによって、金日成主席と金正日総書記の不滅の業績を末永く輝かし、穀物生産を画期的に増やせる突破口が開かれたと伝えています。

朝鮮においては現在、今年10月10日の朝鮮労働党創建75周年を成果をもって迎えるたたかいを力強くおしすすめています。順川リン酸肥料工場の竣工は、このたたかいの成果をもっとも先取りした出来事であるといえます。

金正恩委員長は、テープカットした後、工場を見て回り、朝鮮人民の食糧問題を解決するために大きな労苦を費やした金日成主席と金正日総書記が、現代的なリン酸肥料工場が建設されたという報告をうけたなら、どんなに喜ぶだろうかと胸熱く述べました。

また金正恩委員長は、いまやわが農業勤労者が安心して党が提示した穀物生産目標を達成することに専心することができるようになったと述べ、すべての建設者と科学者、技術者の偉勲を高く評価しました。

金正恩委員長はまた、順川リン酸肥料工場の完工は、あらゆる難関を正面突破できりぬけていく方針をうちだした党中央委員会第7期第5回総会以降におさめた初の成果であり、朝鮮の化学工業を一段階跳躍させるうえで重要な契機になると述べ、この大きな成果を火種として社会主義強国建設の全域で自力富強、自力繁栄の炎がより激しく燃えあがるようにしようと呼びかけました。

経済建設と感染防止は両立しうる

朝鮮は、人民の要求、社会主義の要求であるなら、どんなにきびしい状況にあったとしても自力自強で実現していこうとする精神に満ちています。

朝鮮においては、順川リン酸肥料工場の建設につづけて平壌総合病院を世界的な水準でりっぱに建設するための活動を集中しておしすすめています。

日本ではいまだに自宅隔離、三密と言って、ほとんどの工事を中断させています。人が集まる場所をつくろうとしないのです。朝鮮では何千人という人が集まり、建設場所が沸き立っています。しかし建設現場で新型コロナウイルス感染者が拡がっているという話は聞かれません。

経済建設と感染防止体制を強化することは両立しうるのです。

政府は大企業にカネを放出するのでなく専門病院の建設を

新型コロナウイルスの治療をおこなう専門病院や設備、スタッフを整備せず、医療崩壊させないためにPCR検査を制限するというのが日本政府の方針になっています。

テレビや新聞などで毎日新たな感染者数を報道していますが、PCR検査を制限しているため、感染者数の実態を反映しているとはいえません。

大企業に放出しているカネを回せば、いくらでも専門病院を建設することはできます。

医師やスタッフも余っていますから配置することはいくらでも可能です。

日本政府がいまおこなっていることは、新型コロナウイルス対策ではなく、コロナ問題を利用して大企業に無尽蔵にカネを放出することです。

日本企業の内部留保金は、昨年3月現在で463兆円になっています。大企業にはカネが余っているのです。

にもかかわらずコロナ対策費と称して政府は無尽蔵のカネを大企業につぎ込んでいます。

一方、休業を余儀なくされた中小企業やアルバイト、パートなど非正規雇用の人たちは苦しい生活を強いられています。

派遣社員や契約社員など非正規の労働者の2割前後がすでに休業しており、失職している人もいると言われています。

雇用形態が不安定な人ほど緊急事態宣言の解除を望んでいます。雇用不安のない人や年金受給者は解除を急ぐ必要はないと思っています。

感染のピークを過ぎて発令された緊急事態宣言

日本は憲法で基本的人権を保障し、表現の自由、結社の自由が保障されているため、それを逸脱して法律を制定することはできませんが、基本的人権を抑制し、事実上制限しているのです。

人と人との接触を8割削減すると新型コロナウイルス感染予防に効果的であるという主張には根拠がないことが明確になりました。

緊急事態宣言は4月7日に発令され、5月6日に再検討されて5月31日まで延長されました。ところが全国では4月1日、東京では3月30日に新型コロナウイルス感染がピークを迎えていたことが明らかになりました。

一人の感染者が何人に感染させるかを示す実効再生産数(RO)が1.0を下回れば、ウイルスが消滅していくとクラスター対策班の学者が発言しています。

4月10日現在、実効再生産数は全国では0.7で、東京では0.5でした。

4月15日、西浦博北海道大学教授は外出自粛などの対策をまったくとらなければ、日本人は42万人死亡すると記者会見で発言しました。彼はそのとき実効再生産数を知っていたのに、嘘の記者会見をしたことになります。

コロナに便乗した憲法改悪の企み

ではなぜ、安倍首相はすでにコロナウイルス感染症が収束に向かっているのに、緊急事態宣言を発令したのでしょうか。

安倍首相は、緊急事態宣言を発令して国民がどのような反応を示すかを見てみたかったのです。

安倍首相は、結局国民は従順であり、政府の指示に従うということを確信したことでしょう。国民に自粛要請をし、不要不急の外出を避け自宅にいるように伝えると、多くの人が自覚的にうけいれたのです。

安倍首相は、5月3日の憲法記念日に日本会議の集まりにメッセージを送り、憲法を「改正」したいという思いを伝えました。彼は、憲法改悪を視野に入れて緊急事態宣言を計画的に実施したのです。

報告後、意見交換がおこなわれ、参加者はチュチェ思想をいっそう深く学び、人々のために生きる思想を身につけていきたいと決意を述べました。