5月20日、東京においてチュチェ思想国際研究所が主催する定例研究会が開かれました。
定例研究会にはチュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏、関東学院大学名誉教授の大内憲昭氏、静岡チュチェ思想研究会会長の鈴木敏和氏、朝鮮大学校学長の韓東成氏、在日本朝鮮社会科学者協会会長の李英洙氏をはじめとして、東京、関東近辺の日本と朝鮮のチュチェ思想研究者が参加しました。
定例研究会でははじめに李英洙氏が、「金正恩総書記の最近の思想理論活動について」と題して、つぎのように講演しました。
金正恩総書記の思想理論活動を考察するうえでは、著作の研究が基本であり、また社会歴史的背景を理解し、著作で明らかにした思想理論の真髄をとらえることが大事になります。
今年にはいってから発表された金正恩総書記の三つの著作についてみていきたいと思います。
一つは2月28日、朝鮮労働党第二回初級党書記大会でおこなった結語「初級党書記は母なる党の真の政治活動家になろう」、二つは3月28日、朝鮮労働党第一回宣伝部門活動家講習会議の参加者に送った書簡「形式主義を打破し、党の思想活動を根本的に革新するために」、三つは4月25日、朝鮮人民革命軍創建90周年慶祝閲兵式でおこなった演説です。
人民の党、しもべの党として
一つ目と二つ目の著作においては、党建設の内容を革新しています。
朝鮮労働党第八回大会において提起された党建設における戦略的問題にもとづき、党活動を改善、強化するうえでの重要な思想理論、課題と方途を明らかにしたのがこれらの著作です。
金正恩総書記は一つ目の著作の基本思想について、つぎのように述べています。
「初級党書記は真の母親のような気持ちで、誠実な忠僕の姿勢で人民を奉じて仕え、党の人民的政策を無条件に貫徹すべきであるということが、今回の初級党書記大会の基本精神、基本思想です」
党建設、党の指導的役割を強化するうえで、初級党組織の役割を規定し、すべての初級党書記が真の政治活動家にならなければならないという思想を打ち出しました。
思想の力で革命の前進を保障
金正恩総書記は、二つ目の著作の基本思想についてつぎのように述べています。
「われわれの党宣伝活動家は、党中央の思想と意図を下部末端にまで適時に、正確に伝達、浸透させ、その貫徹へと全党、全国、全人民を決起させるうえで出力の高いスピーカー、マイクとなり、雑音のない増幅器にならなければならない。これが、朝鮮労働党第一回宣伝部門活動家講習会議の基本精神である」
思想活動を党活動の中核の中の核としてとらえて思想の威力によって革命の勝利的前進を促し、しっかり保証しようとする思想を打ち出し、全党と全社会を金正恩総書記の革命思想で一色化することを党の思想活動の総体的方向、総体的目標と規定しました。
この著作は国家繁栄の新時代をしっかり裏づけ、けん引する思想戦線に新たな活力を与える戦闘的旗印であり、思想の威力で活気づけ、力動的な革命の新しい転機を開いていけるようにする不滅の大綱です。
核戦力の基本的使命
金正恩総書記は、朝鮮労働党第八回大会において対外活動、対米戦略の原則を提起し、国防発展展覧会記念演説では、主敵は戦争そのものであるということを明らかにしました。
世界は激変の時代に突入し、情勢が大きく揺れ動いています。しかし朝鮮半島で戦火が上がり、北と南の同じ民族が銃を向けあう歴史は二度と繰り返さない、朝鮮の国防政策には、そのような意志が貫かれています。
三つ目の著作には、強力な自衛力の必要性が示されているとともに、革命武力建設の総路線は人民軍を百戦百勝の軍隊につくりあげることであることが明らかにされています。
また、核戦力の基本的使命は戦争を抑止することであるが、この地で望まない状況が醸成される場合には第二の使命を果たさざるを得ないことが表明されました。
李英洙氏は結びとして、米国は5月21日に米韓首脳会談をおこない、対中国、対ロシア、対朝鮮包囲網を構築し、アジア版新冷戦体制を構築しようと画策しているが、それは時代錯誤であり、自主化された世界をきずいていくことが求められているとしめくくりました。
チュチェ思想にもとづく人民の権利規定
つぎに大内憲昭氏が、「朝鮮社会主義憲法と人権」と題して講演しました。
講演者は、近代立憲主義にもとづく資本主義国の憲法と搾取と抑圧から解放された勤労人民が政権の主人となった社会主義国の憲法とはもともと出発点が異なると前置きしたうえで、朝鮮はこれまでの社会主義国の憲法とは異なり国家機構を中心とした従来の社会主義憲法の体系を刷新し、チュチェ思想にもとづいて、人民の権利を規定していると述べました。
講演後、韓東成氏は、朝鮮におけるコロナ感染症拡大と関連して、金正恩総書記が人民のなかに入り、状況を逐一掌握し、国家の最高指導者が陣頭に立って指揮することによって人民がかたく団結し、徳と情を基本にして困難を解決しようとしていると述べました。
最後に鈴木敏和氏が、訪朝したとき、党の幹部が人民に徹底して奉仕している姿を見てきたと述べました。
研究会後、懇親会がおこなわれ、大内憲昭氏の定年退職をお祝いして記念品が贈られました。