主体を強め基地のない平和な沖縄をきずく
―沖縄チュチェ思想研究連絡会が研究会―



6月18日、那覇市の沖縄県立博物館・美術館において、「隷従するのではなく主体を強め自主をうち立てる」と題して、沖縄チュチェ思想研究連絡会主催の研究会が開かれました。

研究会には、沖縄大学名誉教授の平良研一氏や仲村芳信氏をはじめ弁護士、広告会社会長、三線教師、辺野古基地建設反対運動に参加している人、チュチェ思想研究会の会員、学習者などが参加しました。

最初に、司会者が挨拶をおこない、いまのウクライナ問題の背景や本質などについて提起しました。

つづいて平良研一氏が、つぎのように講演をおこないました。

新たな覇権をねらうアメリカ

2022年2月24日、ロシアはウクライナに軍を派兵しました。そのため、プーチン大統領は、批判を浴びています。実際は、ウクライナの内部事情をはじめ、双方の関係、他国の干渉などさまざまな事情が複雑にからんでいます。

何よりも戦争により多くのウクライナ人民が犠牲になっており、何としても停戦しなくてはなりません。

プーチン大統領が停戦のための話し合いを求めても、ゼレンスキー大統領は一切、停戦交渉に応じようとしていません。国連は西側の意向にそって行動しており、まったく機能不全の状態におちいっています。アメリカを含むNATO(北大西洋条約機構)をはじめ、欧州諸国がウクライナに最新の武器を供与しており、ますます複雑になっています。

ウクライナの事情は、複雑です。東部のロシア系住民が多く住むドンバス地方は、八年前の2014年から、ウクライナの親米政権から虐待と弾圧をうけ、戦争状態となっていました。

ウクライナにはネオナチ集団がはびこっている、という事実をはっきりさせる必要があります。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの非ナチ化を強調しています。プーチン大統領は、ウクライナはネオナチ化しており、彼らを排除しなければロシア系住民はまともに住めないと言っていましたが、ゼレンスキー大統領は聞く耳をもちませんでした。

戦争が長引くのではないかと懸念されています。アメリカや欧州諸国はロシアの弱体化をねらって武器をつぎからつぎへとウクライナに提供しています。ロシアは、米欧がウクライナに軍事支援をおこなっていることにたいして、ウクライナの戦争を長引かせようとしているときびしく非難しています。

アメリカは新たな世界の覇権をねらっているのです。ウクライナ紛争は、アメリカがウクライナを利用して、ロシアを崩壊させるための代理戦争であるととらえることができると思います。

憂慮すべき日本の軍事力増強

ウクライナ紛争によって経済問題や難民問題など、世界の矛盾が浮き彫りになり、深刻な状態になっています。

またウクライナ危機のなかで、NATO加盟国がGDP(国内総生産)比の2%以上の国防予算を確保しようとしていることに乗じ、日本も防衛費を増やそうとしています。日本の防衛費のGDP比2%とは、2022年度当初予算のほぼ2倍、10兆円余りとなります。

日本政府の自主性、主体性の喪失は、辺野古の米軍基地建設問題に象徴的にあらわれています。辺野古新基地建設反対の運動は二五年間つづいています。政府は二五年間も沖縄県民の平和への思いをうけとめることなく、何も答えずに、辺野古新基地建設をすすめようとしています。民衆の意思をふみにじり、戦争政策をつづけているのです。

日本の対米従属政策は転換しなくてはなりません。

沖縄のたたかいは、抵抗のたたかいであるということに集約されるのではないかと思います。日米地位協定にも日本の屈辱的な姿勢をみることができます。

日本の自主をうちたてることは、日本の重要な政治的な基軸、指針であるといえます。

平和の礎に刻銘する人は亡くなった人なら誰でもよいのか

「平和の礎」には沖縄戦で亡くなった方を祀るということで名前が刻まれています。戦争で犠牲になった人はみんな同じように祀らなければ不平等になるという考えにもとづいています。

6.23慰霊の日には多くの人々が線香や花をたむけていますが、刻銘を拒否した朝鮮の人や韓国の人たちがいました。

日本帝国主義とアメリカ帝国主義がひきおこした戦争であり、戦争の張本人である牛島司令官、長参謀長ら戦犯といっしょに刻銘されるのはおかしい、と朝鮮の人たちが言う理由は正当だと思います。朝鮮の人たちが戦争責任者といっしょに刻銘されることに強く反対したことを理解しなければなりません。

わたしたちは、戦争の本質とは何であるかをよく理解していくべきです。

戦争を起こすのはアメリカ

仲村芳信名誉教授はつぎのように述べました。

アメリカは、ソ連がキューバへミサイル輸送することを、みずからの横腹にピストルがつきつけられたものとうけとめソ連と戦争も辞さないと強行に反対しました。そしてソ連のミサイル配備を止めさせました。ところがウクライナでは、停戦、平和を望まずつぎつぎにミサイルや武器を送っています。アメリカの産軍複合体による世界支配であり、ロシア、ウクライナ双方を分断させ儲けようとしています。産軍複合体はウクライナ戦争では、兵器で儲け、農産物で儲け、株の投機などで儲けています。

参加者はウクライナ問題ついて、米欧がリードし、ゼレンスキー大統領を戦争の前面に押しだしていること、ウクライナ危機を煽り日本が軍事大国化していくことに強く反対していくべきだということを確認しあいました。主体を堅持し自主性を高く掲げることがかつてなく大事であることを多くの人々に伝えていこうと一致しました。