混迷する世界で自主と平和をもとめる朝鮮社会主義

―いま求められているチュチェ思想―



11月26日、那覇市の県立博物館・美術館において沖縄チュチェ思想研究会主催で「チュチェ思想に学び民衆第一主義の新しい運動を」と題した研究会が開かれました。研究会で講演した平良研一沖縄大学名誉教授の講演の要旨を紹介します。

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高度に発達した資本主義社会の日本では、複雑で多様で解決困難な問題が噴出しています。ITサイバーの時代になったと言われるこんにち、地球環境問題など資本主義の矛盾が渦巻いています。文明社会が高度に発達した人間社会は、人間特有の問題や悩みを抱えることになり階級的問題、貧困問題など資本主義の構造的問題が山積してきました。

たたかいのなかで創始され発展してきたチュチェ思想

急激な社会の発展と停滞が人々の生き方や生産活動に大きな影響を及ぼしています。このような状況を解決するために、新しい思想にもとづく理論や運動が求められています。

1848年、マルクスとエンゲルによって共産党宣言が発表されました。

マルクス・レーニン主義は、労働者階級を資本主義的生産関係の束縛から解放するための思想、理論でした。しかし資本主義が内包する構造的な矛盾の影響のもとで、巧妙な支配階級の改良や施しの懐柔策によって主体的なたたかいが混乱を起こし、教条主義や日和見主義などが現れてきました。

朝鮮では日本帝国主義による植民地政策によって、人々は言語を奪われ生命まで奪われるという奴隷的で過酷な状況が第2次世界大戦終結までつづきました。

そのようななかで金日成主席は、革命の主人は人民大衆であり、大衆のなかにはいって彼らの要求を奮起させるならば、革命を勝利に導くことができるという真理を明らかにしました。

朝鮮では困難なたたかいをおこなって民族の独立を達成し、朝鮮労働党を結成して社会主義建設をおしすすめました。

党が社会の主人公である民衆のなかにはいって民衆の声に耳を傾け、その実践的要求にもとづいて民衆に依拠した革命の道をきり拓いてきました。

民衆の意思を無視し自然を破壊する辺野古の新基地建設

人間があらゆるものの主人であり、すべてを決定するということは、自然法則を理解し、自然の声に耳を傾け、自然体系を守っていかなくてはならないということです。これを無視している典型が辺野古の新基地建設です。民衆の意思をまったく無視して戦争のための施設が建設されようとしています。防衛のため、国民の命を守るためと言われていますが、人間の命を守るためではないことは、沖縄戦が教えています。

エッセンシャルワークの重要性

いま子どもが生活環境の変化や遺伝的要素の影響で複雑な存在になっていると言われています。教育やエッセンシャルワークは、人間の生命と関わり、自主性、創造性を育む重要な仕事です。

朝鮮のコロナ防疫対策と政策の実践は、朝鮮社会主義、民衆第一主義、すなわち人間の命をもっとも優先する政策の勝利を物語っています。

現在の矛盾がうずまく資本主義社会において生きているわたしたちは多様性、複雑性を考慮して自覚した人間にめざめなければならないと思います。チュチェ思想に学び活かしていくことが求められています。