金正日総書記生誕83周年を記念して
チュチェ思想と日朝友好のためのセミナー 高知で開催

2月15日、高知市において金正日総書記生誕83周年を記念して「チュチェ思想と日朝友好のためのセミナー」が開催されました。

高知チュチェ思想研究会の主催、金日成金正日主義研究全国連絡会と高知県日朝友好・国交正常化促進会議の後援で開催されたセミナーには、高知県日朝友好・国交正常化促進会議代表委員の大峰勝氏、高知市議会議員の木村亘氏、岡崎邦子氏をはじめとする高知県下の日朝友好人士、そして全国各地のチュチェ思想研究者、在日本朝鮮人総聯合会高知県本部の李泰成委員長などが参加しました。

はじめに大峰勝氏が、全国各地から集まった参加者を歓迎して開会挨拶をおこない、つぎのように述べました。日本においては昨年1月に発生した能登半島地震の復興がいまだよく進んでいないことなど農村が見捨てられるような現状があります。 一方、朝鮮では金正恩総書記が被災者を救出する陣頭に立ち、速やかに復興建設をおこなって人民に住宅を提供しています。本日の集まりは、チュチェ思想に学び、日朝友好を推し進めることによって、日本の展望をきり拓いていく機会になるのではないかと思います。

つぎに来賓挨拶がおこなわれ、李泰成委員長がつぎのように述べました。

日本はアメリカにすべて縛られて何も言えない状況がつづいています。地球温暖化の問題などは資本主義がもたらしたものであり、いまこそ脱成長、そして社会的コミュニティの確立が求められています。チュチェ思想に学び、自主、自立をうちたてていくことが求められています。

つぎに部落解放同盟高知市連絡協議会の竹内千賀子議長が来賓挨拶をおこない、つぎのように述べました。

朝鮮についての正しい情報が知らされていないなかで、朝鮮を正しく理解するための場を与えていただき感謝しています。

私は1972年に部落解放同盟の活動をおこなうようになり、そのとき初めて日本が朝鮮を植民地支配し、創氏改名や強制労働などいかに非人道的なことをしたのかを知りました。高知市内の被差別部落には在日朝鮮人と結婚されている人やその子どもたちも居り、部落差別と朝鮮人にたいする差別という二重の差別に苦しみながら生きてきた人たちがいます。

部落解放同盟の前身である全国水平社は、差別と貧困のたえがたい屈辱的な日々のなかから人間を尊敬することによって自らを解放すると高らかに宣言し1922年に創立され、3年前100周年を迎えました。そこで採択された新たな決意では、人権の法制度の確立、社会的格差と社会的排除にたいするたたかい、感染症をはじめ地球温暖化、自然災害、環境破壊、戦争、核兵器、原発など地球的規模の人類的危機にたいするたたかい、国内外の被差別マイノリティと勤労諸階層との連帯を促進し部落解放同盟を開かれた組織に改革することをめざしています。

セミナーは講演にうつり、はじめに村澤真保呂・竜谷大学教授が「環境問題の思想的課題―朝鮮の地方政策と関連して」と題して発表しました。

里山学研究センターの所長も務める村沢教授は、地球の自然環境問題を考えるうえで、人間と自然が非常に近い関係で生活が成り立っている一昔前の村落共同体と呼ばれるような暮らし、文化と深く結びついた考え方、思想が求められていることについて、幅広い見地からその研究内容について述べました。

講演ではまず、現在の地球環境問題に関するデータにもとづいて、このままでは人類が滅亡する、持続可能ではないことについて明らかにしました。

産業革命が起こり、人間が石油や石炭を使うようになってから二酸化炭素の排出量が増えて、地球の平均気温が上がっていることが明らかになっています。平均気温があがると穀物がとれなくなり、食糧危機が訪れると予想されています。

生物多様性の喪失は都市化の進展とリンクしています。生物多様性問題は、環境問題のなかでも取り組みが遅れています。一つの種の生物が絶滅しても生態系全体では大きな変化にならないからです。しかし、さまざまな生物が結びついてできている生態系の網の目がいくつも破れてつながりだすと、あっというまにその網の目が破れて生態系は崩壊し、人類は生きていくことができなくなります。

こうしたなかで現地の人たちの主体性にもとづいた政策によって、保全政策を進めることが重要であるという動きが起こってきました。現地の人たちの信仰や伝統的な自然観を科学的なデータと同じくらい重視し、尊重するということです。

自然環境問題の厳しさ、人類の絶滅の危機が迫っているにもかかわらず、先進諸国の対応は非常に鈍いのです。トランプ大統領に至っては、環境問題は詐欺だ、石油を掘って掘って掘りまくれ、とまで言っています。

何で対応が鈍くなるのか、一番大きな理由は都市化がすすんで、人々が都市以外の生活をイメージできなくなっていることです。近代文明は都市を中心として農村を従属させてきました。その背景にあるのは近代の考え方、すなわち科学主義、合理主義であり、宗教とか倫理は科学より下だという考え方です。

人々が自分で考えることをやめて、専門家とか政治家に判断を委ねる結果になってきました。それは主体性を失うということです。

村澤教授は、いまこそ科学とか合理性よりも、倫理とか主体性を重視する新たな思想とか哲学が求められていると述べて講演をしめくくりました。

つぎに曺宇浩・朝鮮大学校教授が「社会主義全面的発展期の朝鮮、飛躍からさらなる飛躍へ」と題して講演しました。

2021年1月に開かれた朝鮮労働党第8回大会において金正恩総書記は、5年に一回、飛躍し、社会主義強国を建設しようと提示しました。

その後、同年4月29日におこなわれた青年同盟第10回大会に書簡を送り、そのなかで打ち出されたのが「15 年構想」であり、社会主義強国を15年で建設するというものです。

その後、2024年12月に開催された朝鮮労働党中央委員会第8期第11回拡大会議では、社会主義の全面的発展への第一段階の開拓闘争、変革闘争を成功裏に締めくくることで、2025年を朝鮮労働党の指導史に最も輝く地位を占める歴史の分水嶺としなければならないと述べています。

社会主義の全面的発展とは、国家のすべての地域、すべての部門、すべての単位(機関)において、同時的かつ均衡的な発展を成し遂げるということです。また、全国の三大革命化が社会主義の全面的発展であると定義しているところもあります。

曺教授は、つぎに2024 年の主要成果として、人民生活における発展状況について昨年、訪朝した朝鮮大学校の学生が撮った写真を見せながら、温泉休養地やビアホールについて紹介しました。

金正恩総書記は、何よりも「人間の成長」をもっとも貴重な成果として指摘しています。

2025 年の政策的課題について金正恩総書記は、総体的方向として、5カ年計画を完遂すると同時に、次の段階の発展の道程に入るための準備を推し進めることとしています。

曺教授は最後に、今年10月に迎える朝鮮労働党創建 80 周年の位置づけについて、この地に最も尊厳ある人民の国、自主、自尊で威容を輝かす不敗の強国を建設して、 わが国家と人民の尊威と栄光を最上の境地に引き上げた百戦百勝の朝鮮労働党の洗練された指導力と最長の執権史、洋々たる前途を再度力強く誇示することになる大政治祭典であると述べました。

講演に続き、セミナーではアイヌ民族の成田得平氏と帝塚山学院大学の古田富建教授が発言しました。

講演に続き、文化公演がおこなわれました。

はじめに高知在住のアコーディオン奏者の坂野志麻さんが、ジブリアニメの「人生のメリーゴーランド」、そして「情熱大陸」を演奏しました。坂野さんは、いつでもどこでも持ち運んで演奏できるとアコーディオンの魅力について語りました。そして日朝友好というセミナーの趣旨に合わせて演奏しますと言って「アリラン」を演奏し、会場からは大きな拍手が送られました。

つぎに、よさこいチーム「社楽々(しゃらら)」が、はじめに「正調 よさこい踊り」、つぎにオリジナル曲「盛夏虎酔(せいかこすい)」を踊りました。

土佐の高知の夏を盛り上げようと結成された「社楽々」のエネルギッシュな演舞に参加者は手拍子を合わせ、拍手喝采で会場は盛り上がりました。

地域に根づき、人間の尊厳と誇りを守り、平和で豊かな社会をきずこうと一貫して活動してきた人々が参加して開催された「チュチェ思想と日朝友好のためのセミナー」は、チュチェ思想を広範な人々の間に浸透させ、日朝友好を促進するうえで大きな意義をもつものとなりました。