敗戦80年 自主・平和の集い 大阪で開催

8月10日、大阪において「敗戦80年 自主・平和の集い」が実行委員会の主催で開かれ、大阪と全国各地から多くの人が参加しました。
はじめに司会者から、敗戦80年に際して自主・平和な社会を築いていくために、戦争で多くの人々を犠牲にした過去の歴史を振り返り、二度と戦争を繰り返さないための集まりにしていきたいと挨拶がありました。

集いでは、青地イザンべール真美・大和大学教授が「対米従属関係の転換と東アジアの平和―ナショナリズムはグローバリズムに抗えるのか」と題して講演しました。
青地イザンベール教授は、国際政治学を専攻し、武者小路公秀先生の孫弟子であり、訪朝経験もあると自己紹介してから、つぎのように述べました。
戦後日本の対米従属政策は、敗戦と米国の占領政策によって形づくられ、今日までつづいています。
しかし日本の官僚や学者、革新政党、そして自民党の議員のなかでも鳩山友紀夫氏のように対米従属政策に異議を唱える人もいました。
近代世界システムは、中核(中心)・準周辺・周辺の三層構造からなる搾取構造になっています。
グローバリゼーションへの対抗として国際政治経済学者から提唱されているのが、資本主義世界経済からの離脱を目指し、マージナル化された諸階級の共闘でナショナリズムを再生するというものであり、これを共闘型ナショナリズムと呼んでいます。
一方、差別的な排外主義とポピュリズムによるナショナリズムを主張する政党が選挙で台頭しています。これを分断型ナショナリズムと呼びます。
こうしたなかで武者小路公秀先生は、国民国家を前提とするのではなく個人やコミュニティが多様な形で結びついて意思決定に参加していく世界システムを提唱していました。
講師は、日本の対米従属をいかに転換していくのかと問題提起して講演を締めくくりました。
つぎに、三上太一・金日成・金正日主義研究関西連絡会事務局長が、「朝ソ連合軍によって追放された日帝軍」と題して講演し、つぎのように述べました。
日本では8月15日が終戦であると言われていますが、日本はそのときすでに敗北が明白であり、事実上の敗戦はソ連が日本に宣戦布告して関東軍を満州、朝鮮から追放した8月9日だといえます。
日本は1945年の3月から6月の沖縄戦において大きな被害を被り、東京においても空襲で20万人が亡くなるなど、敗北が明白になっていました。
第2次世界大戦において枢軸国のドイツを敗北させるうえで大きな役割を果たしたのはソ連でした。ソ連は、ドイツとの戦争において2千万人もの犠牲を払って勝利したのです。今年5月9日にはロシアで戦勝記念集会が盛大におこなわれ、世界各国の人々が参加しました。
米国は、すでに日本の敗北が明らかであるなかで、ソ連の影響力が拡大することを懸念し、日本を従属下に置き世界を支配するために原爆を投下したのです。
最近、満蒙開拓団で入植し、関東軍が敗走して置き去りにされ、大きな苦労を強いられた人たちのことを描いた映画が上映され話題を呼んでいます。
日本のなかでは戦争で多くの犠牲を払ったことについては取り上げられてきましたが、日本がアジアの3千万人にも及ぶおびただしい人々を殺戮した負の歴史についてはほとんど語られてきませんでした。わたしたちは日本がかつて犯した加害の歴史についても明らかにし、二度と同じ過ちを繰り返さないようにしていかなければならないと思います。

講演後、文化公演がおこなわれ、KING-BATIHOLIというグループが和太鼓の演奏を披露しました。
“和太鼓で世界の人を笑顔に”をモットーに関西を拠点にして演奏活動をおこなっている2人の演奏は、ダイナミックでリズミカルで力強く、参加者を大いに元気づけました。
今回の集いは、過去の戦争の歴史を振り返り、二度と同じ過ちを繰り返さないために、いますすめられている軍拡政策に警鐘を鳴らし、自主・平和の日本を築いていくうえで大きな意義のある集まりになりました。