沖縄で訪朝報告会が開かれる
朝鮮社会主義の優越性と生命力
―仲村芳信沖縄大学名誉教授が報告―
10月25日、那覇市の沖縄県立博物館・美術館において金日成・金正日主義研究沖縄連絡会の主催で訪朝報告会が開かれました。
報告会には、学者、団体役員、米軍基地建設に反対する運動をおこなっている人など、沖縄の各界各層の広範な人々が参加し、訪朝への関心の高さを示していました。
報告会では最初に、沖縄大学名誉教授の平良研一氏が挨拶し、自民党と日本維新の会の連立政権ができて高市早苗内閣が誕生し、軍事国家への道をつきすすもうとしているなかで平和をないがしろにしない政治が求められていると述べました。
報告会では、10月7日~14日に金日成・金正日主義研究全国連絡会代表団団長として朝鮮を訪問した沖縄大学名誉教授の仲村芳信氏が、「朝鮮社会主義の優越性と生命力―朝鮮民主主義人民共和国の今日から」と題して報告をおこないました。
報告会ではつづいて、チュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏がチュチェ思想研究活動をめぐる最近の動きについて報告しました。
報告の後、質疑応答がおこなわれ、活発な討論が交わされました。
仲村芳信名誉教授の報告要旨を以下に紹介します。
生まれ変わった朝鮮
33年ぶりに訪朝しました。生まれ変わった朝鮮をみて印象に残ったことがあります。
平壌国際空港が近代的なすばらしい空港に生まれ変わっていました。空港から平壌市内まで道路が新しく広くなり、交通量も増えました。道路の両側に新しく高いビルがたくさん建っていました。ごみや空き缶、空きびんなどがまったくなく、どこまでもきれいな並木がつづき花が咲いていました。平壌市内に入ると、子どもたちや近くに住んでいる市民が自主的に道路をほうきではいたり、花壇を手入れしたりしている姿がありました。平壌市内も市外と同じようにきれいでごみ一つ落ちていませんでした。ホームレスも一人も見かけませんでした。
各国の参加者を強く結びつけるチュチェの絆
チュチェ思想国際研究所と朝鮮社会科学者協会の主催で二日間、チュチェ思想国際セミナーがおこなわれました。
国籍や言葉はちがっても、チュチェ思想の精神は参加した人たちを兄弟姉妹のように強く結びつけていました。
帰国して家に帰ったら、フィンランドの代表から、あなたと会えてたいへんうれしかったとメールが入っていました。
セミナー閉会後、朝鮮政府主催で歓迎パーティーがありました。朝鮮社会科学者協会第一副委員長の太亨徹先生の乾杯あいさつがあり、各国代表との交流を楽しみました。
私は太亨徹先生に、日本が朝鮮を植民地にして土地を略奪し、住民を虐殺し、言葉を奪ったりして朝鮮の人々に言語に絶する苦痛を与えたことにたいして、私的に謝りました。先生は黙ってお聞きになって「チュチェ思想を広め、平和、友好関係をつくっていきましょう」と励ましてくれました。
目の覚めるような演技に驚く
朝鮮人民とともに世界各国からの招待客も朝鮮労働党創建80周年をお祝いしました。
10月9日、メーデースタジアムではマスゲームがおこなわれ、ブラスバンドの生演奏に合わせて男女のコーラスや踊り、平壌の学生たちによる人文字、女性歌手による独唱、混声合唱、テコンドーの演武など目が覚めるような出し物が披露されました。わたしは電光掲示板だと思っていたのが、始まった途端にパッパッと変わる人文字で、人間わざと思えないすばらしい技術だと感心しました。
10月10日には、金日成広場でおこなわれた朝鮮労働党創建80周年を祝賀するパレードを見ました。朝鮮の抗日武装闘争や祖国解放戦争で犠牲になった英雄たちの写真をかかげたパレードがありました。
人民に最高のものを提供する
平壌中央動物園は大きな虎の口が入り口になっています。動物園は、より多くの人民が笑顔で暮らせるように、人民の笑顔で幸せを体験できる施設計画のモデルとしてつくられています。
朝鮮労働党中央幹部学校を参観して
人民は国の主人である、国の主人である人民には常に最高のものを提供するのがチュチェ思想の精神です。共和国の施設にはそのような精神が織り込まれて、人民のための地下鉄、病院、学校、保育所、娯楽施設などすべて最高のものがつかわれています。
朝鮮労働党中央幹部学校は、チュチェ思想を実行具現化しながら人民とともに働く幹部を育てる学校でした。全部コンピューター化されています。
自主、自立、自力更生の精神で国を繫栄させる
共和国では国民から所得税などの税金をとりません。教育費、医療費も無料です。資本主義国では学費が払えない学生もいます。保育所も無料で、待機児童問題もありません。住宅も国がつくってくれ、支払うのは電気代、水道代だけです。
日本によって植民地にされた朝鮮の解放と独立のための抗日戦争のなかで金日成主席によって生み出されたのがチュチェ思想であり、人民が国の主人であり、主体性、自主性、意識性、創造性を重視する思想です。また、「みんなは一人のために、一人はみんなのために」をスローガンにして誰一人として取り残さない自負と人間愛の精神を強調しています。国の指導者も為民献身、人民のために身を粉にして働くというスローガンを常に意識して働いています。
金日成主席が創始したチュチェ思想は、思想における主体、政治における自主、経済における自立、そして防衛における自衛という四つの基本理念をもっています。いかなる外的圧力にも屈せず、自主、自立、自力更生の精神で国を守り発展、繁栄させていく思想です。
米国が関わっている国々や地域ではみずからの理念や価値観がことごとく無視、破壊されてきました。
食衣住がゆきわたる
平壌市内では路面電車、電力バス、タクシー、EV自動車、自家用車、電動バイクなどが走り回っていました。
大規模な野菜工場が稼働し、年中ビタミン豊富で多種多様な野菜が生産されて、ホテルの食材の種類も量も以前よりもはるかに豊富でした。
私は34階建ての高麗ホテルの30階に泊まっていましたが、水圧もしっかりして、毎日お風呂タブいっぱいにお湯をためて入っていました。
毎朝、自分の好きなものをいただいていましたが、豚肉を食べないイスラム教徒や牛肉を食べないヒンドゥー教徒などのために、数多くの料理のなかから選べるようにたくさん提供されていました。
北京から平壌に向かう旅客機の窓からは黄金のカーペットを広げたような田園が目に飛び込んできました。今年は台風や水害などの天災がなく、よい天気に恵まれて、米をはじめすべての農作物が豊作になっていると、朝鮮の方々は喜んでいました。食衣住がゆきわたった理想の国家づくりに成功しています。
自主的で創造的な人材を育成する
教育は国の興亡と民族の将来の運命を決める重要な事業です。教育事業は、社会主義強国をさらに発展させ、自主的な思想意識と創造的な能力をもつ人材の育成に貢献することを目的にしています。また社会全体をインテリ化することが社会主義教育の展望課題です。
金日成総合大学は、大学の任務は優秀な民族幹部を多く輩出することであるという号令のもと、1946年10月1日に創立され、現在は10の学部、50の学科、1万2000人もの学生が学んでいます。これとは別に夜間、通信部で5000人が学生として教育されています。アジア、アフリカ、ヨーロッパなどからの留学生も受け入れており、教授は3500人を数え、この大学の卒業生は同国社会のエリート層をなしています。国を発展させる人材育成のための教育施設が整っています。
チュチェ思想を日々の暮らしに反映させる
チュチェ思想はすべての社会に通用する普遍的価値をもった人間愛、世界平和をめざす思想です。この思想は民族、体制、宗教、文化などの違いを乗りこえて人類を愛や思いやりの心で結ぶ大きな力をもっています。
チュチェ思想を世界平和のために、より多くの人に伝え広めていくにはどうしたらいいかみんなで考え、行動していきましょう。
欧米の資本主義諸国は、資本力や軍事力や利害関係や競争の原理で運営されています。しかし、朝鮮社会主義では、人民が主体になり、人民が平和で笑顔で暮らせるように、チュチェ思想を日々の暮らしのなかに反映させ、具現化していく政策を国をあげて取りくんでいます。
人々はみな違う個性をもって生きています。国々もそれぞれ違う政治体制を歩んでいます。違うからけしからんという考え方は抹殺や紛争への入り口です。違いは受け入れ、認め合いましょうという寛容な心をチュチェ思想が教えてくれました。
ラジオ体操会のなかまを誘って
報告後、質疑応答がおこなわれ、報告会に参加した仲村先生の家族や仲村先生が毎回参加している「ラジオ体操会」のみなさんたちからも感想や質問が出されました。
朝鮮が単なる経済的な豊かさではなく、みんなが助け合って生きていく、ほんとうに豊かな社会をきずいているという先生の話を聞いて、こういう話は今まで聞いたことがなかったとの意見も出されました。
また、先生から琉球独立のことや世界の話を聞き、集まりにも参加していたが、きょうの話を聞いていっそう先生を尊敬するようになったとの意見も出されました。
また、朝鮮は飢えている人がいるとか、今日の話とは真逆のことしか伝えられていなかった、このような話を先生はもっといろんなところでしてほしいとの意見も出されました。
報告会には新聞記者も参加していました。ある人は、朝鮮のほんとうの姿を知らなかった、目からうろこが落ちたようだ、選挙に行っても庶民の声はなかなか届かないと述べ、マスコミはもっと正しいことを伝えてほしいと述べていました。
身近な人たちが参加しておこなわれた訪朝報告会は、チュチェ思想を具現した朝鮮社会主義の正しい姿を多くの人々に伝えていくうえで大きな意義をもつものとなりました。