朝中ロが主導する新しい世界
―沖縄でロシアと日本の学者の講演会が開かれる―

11月16日、那覇市IT創造館において金日成・金正日主義研究沖縄連絡会が主催してロシアの学者を迎えて講演会が開催され、沖縄で基地建設に反対して運動している人、琉球独立に関心をもつ人、そして本土からもチュチェ思想研究者が参加しました。

講演会でははじめに沖縄大学名誉教授の仲村芳信氏が、「ウチナーンチュが見た朝鮮」と題して講演しました。

今年10月10日を前後し、朝鮮労働党創建80周年を祝賀し金日成・金正日主義研究全国連絡会代表団団長として訪朝した仲村教授は、朝鮮に対する悪意に満ちた宣伝によって多くの人々の意識がマヒさせられていると前置きしたうえで、訪朝して見聞きした朝鮮社会主義の優越性とチュチェ思想が沖縄の独立運動にも力になる思想であることについて、つぎのように報告しました。

琉球と朝鮮は古くから友好関係を結んできた

尚真王が12歳の頃、朝鮮人が与那国に漂着しました。朝鮮の難民は、八重山や宮古の島民に守られて島伝いに首里王国の尚真王に送られました。そのとき難民たちが琉球人の日ごろの生活について詳しく記録したものが、朝鮮の李朝実録に残されています。琉球王が琉球に漂着した生存者を安全無事に朝鮮に送り返したことにたいして、朝鮮側から貴重な大蔵経や弁財天像などが尚真王に返礼として届けられました。尚真王は1502年、龍潭池の南東側に円鑑池を掘り、近くに小島をつくり、そこに小堂を建てて朝鮮王から送られた大蔵経と弁財天像を奉納しました。

その後、琉球の女性たちがこの弁財天堂を訪れ、子宝に恵まれるようにと祈るようになりました。1609年の薩摩侵略と1945年の沖縄戦で焼けてしまいましたが、戦後1968年に再建され朝鮮と琉球の友好のシンボルとなっています。

チュチェ思想は人間愛、世界平和をめざす思想

チュチェ思想は民族、体制、宗教、文化などの違いを乗り越えて人類を愛や思いやりの心で結ぶ大きな力をもっています。

訪朝から帰国する前日、朝鮮社会科学者協会の事務局長が別れのあいさつのために高麗ホテルまで来られました。これもまたチュチェ思想の思いやりと愛の形であると私は感じました。

米国などの資本主義社会は資本力や軍事力、利害関係や競争力の原理で運営されています。しかし朝鮮の社会主義は人民が主体になり、人民が平和で笑顔で幸せになるために、チュチェ思想を日々の暮らしの中に反映させ具現化していく政策を国を挙げて取り組んでいます。

人々はみな違う個性を持って生きています。国々もそれぞれ違う政治体制をとっています。違うからけしからんという考え方は紛争への入り口です。違うからすばらしい、違いは受け入れ認めあいましょうという寛容な心をチュチェ思想は教えてくれました。

平和で豊かな戦争のない琉球国を再建する

私は戦争の生き残りです。弟は沖縄戦で餓死しました。戦争は100%反対です。どんなことがあっても戦争をしてはいけません。

私は琉球独立運動家の一人です。有権者の51%以上が独立に賛成すれば、国際社会も助けてくれます。琉球が独立できる理由があるのです。

独立して、チュチェ思想を朝鮮のように使えば、政治、経済、教育、福祉、すべてのものに適用することができます。そして、すべての国々と平和条約を結び、敵をつくりません。

われわれの先祖は、万国津梁の精神で、すべての国々と平和的に、友好的につき合いなさいと教えています。

平和で豊かな戦争のない琉球国を再建することがわたしの夢です。チュチェ思想がそれを助けてくれます。

琉球の独立運動は反日反米運動ではありません。独立すれば、すべての国々と仲良くするのです。こういう夢のある国をつくっていこうとするのが琉球の独立運動です。

ロシアと朝鮮の前例のない友好関係

つぎにロシア科学アカデミー東洋学研究所朝鮮・モンゴル担当部長のアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏が、「ロシアと朝鮮の前例のない友好関係」と題して講演しました。

今年8月と10月に朝鮮を訪問して朝鮮解放80周年記念行事と朝鮮労働党創建80周年記念行事に参加したヴォロンツォフ氏は、現在の多極化した世界のなかでロシアと朝鮮の高いレベルの友好関係はとても重要になっているとして、つぎのように述べました。

ロシアはクルスク地方でたたかう朝鮮の兵士やその家族にたいして医療や財政支援をすると申し出をしています。しかし、朝鮮は、「この戦闘の支援は、誠実なみなさまへの私たちの恩返しです。1945年に大きな犠牲を払って朝鮮を解放してくれたロシアの赤軍にたいする感謝からです。ロシアがいまきびしい状況にあるから、わたしたちは支援しています」と言って受け取りません。

これは金正恩総書記をはじめとする朝鮮人民とロシア人民の深い友情の表れです。

友情を条約や宣言という言葉だけでなく、実際に形として示している国、朝鮮は本当に素晴らしい国だと思います。

多極化の先頭に立つ朝鮮

ロシアとウクライナの紛争の目的は、米国がロシアを戦略的に破壊することです。

ロシアと朝鮮は、歴史的にも密接につながっており、朝鮮はロシアを全面的に支援しています。国連でのロシアにたいする制裁決議にも毅然として反対の態度をとっています。

2024年6月19日にロシアのプーチン大統領は朝鮮を訪問し、包括的戦略的パートナーシップ条約を締結しました。それにもとづいて金正恩総書記はロシアのクルスク地方に朝鮮の兵士を送り支援しているのです。

いま世界は多極化の方向にダイナミックに大きく前進しており、その先頭に朝鮮が立っています。

2025年8月の祖国解放80周年セレモニーのなかで、金正恩総書記は、朝鮮とロシアの二国間の友情はこれまでにない高い域に達している、いま世界は正義と不正義のたたかいのなかにある、わたしたちは不正義に対してたたかっている、わたしたちはロシアとともにたたかう、平壌は遠くにあっても、ロシアとともに行動すると述べていました。

講演会では、チュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏が発言し、つぎのように述べました。

日本でも世界でも現時代の特徴について、地政学的な意味での欧米という言い方はなくなり、朝中ロの三か国を中心とする反帝自主の構図ができあがったと言われるようになりました。

世界が米国を信頼しなくなりました。グローバルサウスが力をもってきていると言われていましたが、その流れが明白になりました。

金日成主席が亡くなる一年前、主席は私と子どもたちを一緒に呼んで親しく話をしてくれました。

尾上事務局長は、金日成主席もそうですが、朝鮮の指導者は非常に人間味豊かな指導者であると述べて発言を終えました。

沖縄で開かれた講演会は、チュチェ思想を学び広めるうえで大きな意義のあるものとなりました。