朝鮮労働党第9回大会記念
チュチェ思想研究セミナー
―東京で開催―
3月20日、東京・池袋において朝鮮労働党第9回大会記念チュチェ思想研究セミナーが金日成・金正日主義研究全国連絡会の主催で開催されました。
セミナーには、ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会書記長一行、チュチェ思想国際研究所事務局長の尾上健一氏をはじめ北海道から沖縄に至る全国各地区のチュチェ思想研究者、外国人労働者、在日朝鮮人らが参加しました。
自主はヨーロッパ諸国の切迫した課題
セミナーでは最初に、ヨーロッパ・チュチェ思想研究学会書記長のユハ・キエクシ氏が「自主はヨーロッパ諸国の切迫した課題」と題して講演し、つぎのように述べました。
ソ連・東欧における社会主義崩壊のもっとも重要な要因は、思想活動の軽視ではなかったかと考えています。
マルクス・レーニン主義の原則、弁証法的史的唯物論は、さまざまな社会形態の弁証法的発展について解明していますが、社会主義制度が樹立された後に社会をいかに建設すべきかという問題については、解明が不十分でした。
朝鮮における社会主義建設は、チュチェ思想こそが人民の要求にもっとも合致し、人民の要求に即して社会主義社会をたえず発展させることができることを実証しました。
チュチェ思想にもとづくなら、社会は自主、自立、自衛の原則にもとづいて建設されなければなりません。ところがヨーロッパ諸国では、人々が互いに競争することを強いられ、他者を犠牲にして巨額の富を蓄積した者が称賛されるという極端な個人主義が蔓延しています。武器購入の資金は民衆からしぼりとられ、民衆の生活水準は悪化の一途をたどっています。
ヨーロッパの社会制度が民衆の声に耳を傾けていないことは明らかです。帝国主義勢力の繁栄のために、国際的大資本の指示のもとにすべてが動いています。
このような状況は、ソ連崩壊と深く関連しています。ソ連・東欧における社会主義の崩壊後、新自由主義経済政策がいささかの制約を受けることなく推進されるようになりました。
2022年以降、ヨーロッパでは戦争が続いています。
ウクライナ問題は、ヨーロッパ諸国の共産主義者や左派を二分しています。この問題の争点は、ロシアのウクライナにおける軍事行動を帝国主義的と見なすべきかどうかという問題です。レーニンの帝国主義論の観点から見れば、ロシアが帝国主義であると分析することはできません。ロシアは領土の再配分はせず、経済共同体、BRICSへの参加国です。
ヨーロッパ諸国と米国間において戦後、維持されてきた同盟関係は、資本主義の変化に伴い変わりつつあります。例えば米国は、デンマークからグリーンランドの獲得を図っており、カナダやパナマに対しても威嚇しています。
フィンランドの経済は、NATO加盟を契機に衰退し、フィンランドはEU内で失業率のもっとも高い国となりました。労働者の雇用条件や諸権利はますます悪化の一途をたどっており、福祉制度も崩壊させています。
フィンランドはイスラエルから武器を購入しており、イスラエルを支援しています。最近、米国によるイラン攻撃がおこなわれ、米国の爆弾によって百数十人のイランの子どもたちが殺害されたにもかかわらず、フィンランド政府は抗議ひとつしませんでした。
こうしたなかで朝鮮では、党が人民の要求に耳を傾け、迅速に対応するよう努めています。これにより大衆、党、指導者の間に深い信頼関係がきずかれています。党は、他のいくつかの国で見られるような大衆から離れた存在ではなく、大衆の幸、不幸に常に寄り添っている存在です。朝鮮では、誰も取り残されることなく、誰もが社会建設に参加しています。
わたしたちはチュチェ思想の思想理論について、そして朝鮮における適用について深く学んでいきましょう。そこに民主主義と人民の福利厚生、そしてより公正な世界への道をみいだすことができるでしょう。
思想活動を強め主体を強化して社会主義の全面的発展をきり拓く
セミナーではつぎに、朝鮮大学校教授の朴明氏が、「朝鮮労働党の強化・発展と社会主義偉業遂行の栄えある道程で一大分水嶺となった朝鮮労働党第9回大会」と題して講演しました。
朴教授は、はじめに朝鮮労働党第9回大会が、どのように準備され、おこなわれたのかということについて詳しく解説しました。
今回の大会は、党の中央と地方、各機関において討論を積み上げ、それぞれの代表を選出したうえで開催されていきました。また大会期間中においても総括報告などに基づいて、それを具体化し、計画化するための討論がおこなわれていきました。
朴教授はつぎに、朝鮮労働党中央委員会第8期活動総括報告の基本内容について述べました。
総括期間に収めた成果の一つは、社会主義全面的発展の新しい流れを開拓したことです。
そのなかでも全国の市・郡を発展させるための壮大な革命が開始されたことは特別に重要な意義をもっています。具体的には「地方発展20×10政策」を打ち出し、2年間のたたかいを通じて驚異的な成果を収めました。
成果の二つは、国家経済全般を成長の軌道に乗せ、人民の福利に関連する社会主義的施策を拡大実施したことです。
ここには平壌市5万世帯住宅建設や11万余世帯の農業勤労者が新居に入居したことなどが含まれます。
成果の三つは、先鋭かつ複雑多端な国際情勢のなかで強権と不正義を実力で制御し、国家の安全と主権的権利、国際正義を守る自主的かつ実効的な国家防衛政策を成功裏に実施したことです。
全面的発展期をきり拓くための総括期間のたたかいがもつ意義について総括報告ではつぎのように述べています。
社会主義の全面的発展の新時代を開拓するためのたたかいを通じてわが党は、主体的・客観的条件と環境が不利であるとしても、革命が要求し人民が願うなら無条件実行すべきであるという意志をいっそう強くし、正確な路線と政策、指導があり、それを実践することのできる主体的力量があれば、どんな試練や難関も克服し、ゆうに成功裏の結実をもたらすことができるという真理を改めて確認した。
すべての成果の主たる要因は、政治的・思想的威力であり、以民為天、一心団結、自力更生の理念であると述べています。
社会主義の全面的発展期に堅持すべき重要な要求は、第一に、社会主義建設全般で一致した行動の統一を保障し、強い紀綱を確立する活動を深化させること、第二に、古いマンネリズムと枠、保守主義、経験主義を一掃し、新しいものを不断に創造し革新していくこと、第三に、活動を科学的に先を見通して、実利が得られるようにおこない、専門家的な実力を重視すること、第四に、生産と建設にたいする指導方法、指導方式を革新し、活動家の指揮能力を高めること、第五に、思想の力、大衆の精神力で万事を解決する原則を一貫して堅持し、人民大衆第一主義に反するあらゆる否定的現象とのたたかいをいっそう力強くくりひろげることです。
現段階における社会主義経済建設の基本課題については、第8期期間に収めた成果を強固にし、国の経済全般を安定的かつ持続的に成長させる発展土台を構築し、人民生活を実際的に改善することです。
このことから新たな5か年計画期間は、安定・強固化の段階、漸進的な質的発展の段階になるべきであり、これが党中央委員会第9期活動の総体的目標、原則になるべきであると述べています。
対外関係については、総括期間に国際的な政治安保構図と力量関係、情勢の流れで起きた大きな変化とそれに対する主動的対応についてつぎのように明らかにしています。
米国の覇権政策と専横によって世界の至る所で平和と安全の根幹が甚だしく揺れ、武力衝突自体が連発して現在の国際情勢はより混乱した方向へ突っ走っており、時間が経つにつれてより可変的で予測不可能な様相を見せている。
力が強ければいかなる条件でも生存と発展が可能であるが、力が弱ければ制裁と侵略のいけにえになって究極には主権も領土も強奪されるということが国際社会が今日の冷酷な地政学的形勢を通じてみる現実であり、振り返るようになる教訓である。
朴教授は、党第9回大会は、党第8回大会で打ちだした計画をやり切ったうえで開催されたところに特徴があるということ、この点で、第8回大会が第7回大会で決定した計画を甚だしく達成できずに開催されたのとは大きな違いがあると述べました。
朴教授はつぎに党第9回大会の意義を理解する上でのいくつかの問題としてつぎのように述べました。
5年前、当面の革命の最悪の難局を自力で打開し、前進と発展の新時代を必ず開くという信念と意志、覚悟をもって第8回党大会を招集したとすれば、今日は未来への楽観と確信に満ちて第9回党大会に臨んでいます。
朝鮮労働党第9回大会の基本思想、基本精神は、主体的力量の強化をもってすべての分野で偉大な勝利を成し遂げていこうという、第8回党大会の基本思想、基本精神の継続です。
闘争と前進の旗印は、以民為天、一心団結、自力更生です。
主体的力量強化において堅持すべき理念、原則は、3大革命路線、すなわち思想革命、技術革命、文化革命であり、これは今日の変革闘争の推進力となっています。
朴教授は最後に、金正恩総書記の業績と偉大性として、第一に思想理論的業績、第二に、党と人民軍の強化、第三に、広範な大衆の力を無限大に噴出したこと、第四に、膨大な事業を同時に展開し、必ず成果を導き出したこと、第五に、国家の尊厳と安全、次世代の平安を確実に担保できる法的武器と強固な力を蓄えたことについて述べました。
世界で唯一の海外同胞大学としての歴史と伝統を守り前進する
セミナーではつぎに朝鮮大学校学長でチュチェ思想国際研究所理事の韓東成氏が挨拶し、つぎのように述べました。
先日、朝鮮大学校でユハ・キエクシ先生一行とたいへん有意義で楽しい時間を過ごすことができました。そして本日報告をお聞きしたのですけれども、ある意味、わたしたちと同じような環境で自主の信念をもち、そしてチュチェ思想研究普及活動をおこなっておられる先生方から大きな力というか激励をいただくことができました。
ロシアの隣国であるフィンランド、そして朝鮮の隣国である日本、米国の圧力や資本の力という意味ではともに同じようなきびしい状況にある国、遠く離れ、地域が違っても、似たような環境で同じ志をもって活動されておられるみなさんに心から敬意を表したいと思いましたし、わたしたちも頑張って活動していかなければならないと思いました。
朝鮮労働党第9回大会の政策的意義、歴史的な位置についていくつか考えていきたいと思います。
今回の党大会は、名実ともに成果を意味する大会であり、このような大会はかつてなかったと思います。朝鮮において現在、大きな変化が起きているということを朝鮮大学校の学生たちが二年にわたって目撃してきました。
学生たちが行って感じたことは、都市が整備されている、人々の服装も変わった、生活も不便を感じないと言っています。三つ目は街に活気があるということです。そして人々が温かいということです。
第9回党大会の報告の中で刮目すべき成果は三つだと思います。
一つ目が社会主義全面的発展の新しい流れをつくったということであり、二つ目が、経済全般を成長の軌道に乗せたということであり、三つ目が国防をしっかりときずいたということです。
全面的発展の流れとは、格差の是正です。成長の軌道に乗せたというのは、停滞の克服です。
都市と農村の格差、部門間の格差、地域間の格差、これがこの五年間で是正されました。それを象徴するのが、20×10政策が実行されていることです。
総書記がこの間おこなったことは、内部の力を全面的に整備再編する、主体的力、内的力を強化するということです。
一つは、幹部の体質改善です。二つ目は、社会の雰囲気の改善です。党と国家事業全般にはびこっていた陳腐な思想観点、発展を阻害する形式主義、経験主義、虚無主義、一切の否定的な弊害を克服する原則的な闘争がおこなわれ、成果よりも欠点と教訓を先に求め、実際に対策をたてる見地から党組織の活動を総括する制度と気風が確立し、党員の政治意識と主導的な役割が不断に向上しました。
官僚主義がなくなり、以前こうやってきたのだから、いわゆる前例主義のようなものがなくなって新しい発想で自らの責任で物事を解決していく気風に変わってきました。
二つ目は、数十年間持続してきた不均衡で非典型的な桎梏と世紀的な後進性が清算され始めました。この大きな変化は、言葉や文章ではなく、まさに党大会に参加しているみなさんのことです。毎日行き来する町や村、職場で確認でき、衣食住の日常生活でも感じることができ、随所にあふれる人民の明るい表情にも見出すことができます。社会が変わったということです。
4月10日に朝鮮大学校は創立70周年を迎えます。朝鮮大学校は、三つのオンリーワン大学だと思っています。
第一は世界で唯一の海外同胞大学であるということです。
日本の植民地支配によって、朝鮮から日本に渡ってきて、解放をむかえたけれども帰ることができず、日本で自らの民族の言葉、歴史文化を学ぶ教育が必要であり、その教育を中心とする同胞コミュニティを継承発展させるためには高等教育機関が必要だったということです。
二番目は、朝鮮民主主義人民共和国の唯一の海外大学です。
在日朝鮮人が日本においても自らの民族の歴史と文化を背負い、民族性を胸に誇らしく生きていく道を支援してくれたのが、他でもなく朝鮮民主主義人民共和国であったし、その象徴が朝鮮大学校であったのです。
三番目は、日本において一切の公的な支援を得ていない唯一の高等教育機関です。
このような歴史的な背景を背負いながら、わたしたちは創立70周年を契機にこれからも朝鮮民主主義人民共和国の世界で唯一の海外同胞大学としての歴史と伝統を守り前進していきたいと思います。
世界はかならず自主、正義と平和、人権が守られる方向に進むだろうと思います。その流れとともに日本の皆さんとの友好親善を深め、朝鮮大学校が獲得すべき権利、支援を必ず手にしていきたいと思っています。
つぎにアイヌ民族の成田得平氏が挨拶し、つぎのように述べました。
フィンランドにはサーミ民族という北欧一帯で生活している先住民族がいて、世界でも模範的な自主的な活動をしていると聞いています。わたしは日本の先住民族としてエールを送りたいと思います。
最近の世界情勢をみると米国が人としてあるまじき暴挙をふるっているなかで、自主的な国家として威力を示し、世界をリードする朝鮮の姿が際立ってきていると感じています。
これからもアイヌ民族の自主確立のためにチュチェ思想に学んでいきたいと思っています。
懇親会で交流を深める
セミナー終了後、会場を移して懇親会がおこなわれました。
最初に帝塚山学院大学教授の古田富建氏が挨拶し、セミナーではフィンランドの状況が日本と共通するものがあると感じたということ、そして朝鮮労働党第9回大会の内容を深く理解することができて大変勉強になったと感想を述べ、乾杯の音頭をとりました。
東京朝鮮歌舞団が朝鮮の歌と踊りを披露しました。
オープニングでは舞踊で「扇の舞」と女声独唱で「絹を織る乙女」を披露しました。つぎには4月に金日成主席誕生114周年を迎えることと関連して「朝鮮よ、お前を輝かさん」、「首領様、万古風霧 忘れられません」、「平壌の歌」をうたい、最近朝鮮で流行している歌として「熱望」、「強大なるわが祖国」を歌いました。最後に皆様の発展を願っているとのメッセージを送り、「太鼓の舞」を踊り、「この世に羨むものはない」をうたいました。
参加者は和やかに懇談し、交流を深めました。
朝鮮労働党第9回大会記念チュチェ思想研究セミナーは、チュチェ思想の研究を深め、日本と世界の自主化を促進していくうえで大きな意義をもつものとなりました。
「ウルラ・ポウチアイネンさんを囲む会」がおこなわれる
同日、セミナーに先立ち、ウルラ・ポウチアイネンさんを囲む会がおこなわれ、東京、群馬、長野、静岡、大阪などから女性のチュチェ思想研究者が参加しました。
囲む会では、フィンランド・チュチェ思想研究会会員のウルラ・ヘレナ・ポウチアイネンさんが、フィンランドから持参したチョコレートのお菓子を参加者に配り、つぎのようにお話をしました。
フィンランドは国民の幸福度が世界一だと言われて注目されていますが、それは人々が自由を求めているということ、男女差がないことが大きな理由ですが、必ずしもそうではありません。
「he」と「she」というような男女を区別する言葉がなく、同じ仕事であれば男女の区別なく同じ賃金が支払われるということはあります。
しかし、これまでのように充実した福祉が少なくなり、貧しい人が増え、家庭内暴力も増えています。
私は、食糧庁の職員として働いてきましたが、今は退職しています。
フィンランド人の気質は、強欲ではなく、一生懸命働き、謙虚でくじけず、正直です。時間通りに行動するというのは日本人と似ています。
国会議員は46%を女性が占めています。
子どもの教育に関しては、学習塾のようなものはなく、さまざまなスポーツや音楽を学ぶ場があります。ウルラさんの息子たちは課外活動として音楽をおこない、一人は音楽関係の仕事についているということです。
日本では子どもの自殺が多いのですが、フィンランドではそういうことはなく、高齢者の自殺が多いということです。
囲む会は、フィンランドの女性をめぐる状況に対する理解を深め、日本とフィンランドのチュチェ思想研究者が協力してチュチェ思想研究普及活動を発展させ、日本と世界の自主化を促進していくうえで意義ある集まりとなりました。