金日成主席の生涯

チュチェ思想国際研究所理事長
ラモン・ヒメネス・ロペス

金日成主席の生涯は、特出した功績とぬきんでた献身性、祖国と人民、人類にたいするかぎりない愛で一貫されています。

代を継いで伝えるべき金日成主席の著作と生涯に関する伝記や逸話は実にたくさんあります。

金日成主席は1930年6月30日、共青および反帝青年同盟の幹部会議でおこなった報告で、こんにち、われわれ青年共産主義者の前には現情勢の要求にふさわしく朝鮮革命を正しい道に導くべき重大な課題が提起されている、日本帝国主義は朝鮮にたいする植民地的暴圧と略奪をさらに強化している、と述べています。

いまから90余年前に朝鮮がおかれた状況は、軍事的に占領されていないとしても、こんにちの新自由主義時代に生きる諸国人民の状況と共通したものがあります。金日成主席が教えたように、各国の人民は情勢の要求に即して闘争を発展させていかなければなりません。

ラテンアメリカ諸国は自主的な国を創造しなければならない

ラテンアメリカ、とりわけメキシコの場合、新自由主義による略奪がもっとも激しくおこなわれ、新自由主義的な政策を実施した政府は、国土の60%に達する1億2000万haの鉱脈を(外国企業に)譲渡しました。民間企業、とくに、外国の民間企業と原油開発および採取の契約を結んだことにより、燃料の生産で国の自主権と自立を甚だしく侵害され、この時期に85%のガスとディーゼル油を輸入するほどにまでいたりました。

11年前に電力部門では国営企業が150%の電力を生産できる能力をもっていましたが、現在の国営企業は国家が要求する電力の54%しか生産できずにいます。以前、メキシコはとうもろこしをはじめ、穀物生産で自給自足していましたが、新自由主義の政治のもとで、需要にしめる割合でみると、米の90%、えんどう豆の45%、とうもろこしの50%を輸入しています。いまはこのような現象が情勢の要求にあわせて変化していますが、オブラドール大統領は、メキシコはもうこれ以上略奪される土地はないと宣布しました。

ボリビアでも帝国主義者と軍が結託して国家の力を弱化させ、リチウムやその他の鉱物など、天然資源を手中に入れるため、先住民族出身のエボ・モラレス大統領を辞任に追い込み、クーデターを企みました。

帝国主義の貪欲さはまた、ベネズエラでも見ることができます。帝国主義者は21世紀の社会主義を建設しようとする人民の側に立ったベネズエラの政権を屈服させるために、ベネズエラの金資源、国営企業の財政に影響をおよぼしており、アメリカにある国営精製企業の資産を凍結させました。

他のラテンアメリカ諸国でも同じような状況があります。

金日成主席が教えているように、各国の人民は情勢の要請と自国の歴史、自国の実情に即して帝国主義の略奪に立ち向かってたたかい、つねにチュチェ思想の要求通りに自主性と創造性、意識性を高く発揮してきました。

自主性を実現するための朝鮮人民の闘争において、金日成主席がうちだした戦略は、本質においてラテンアメリカ諸国の人民がこんにち、新自由主義の状況下で帝国主義者と民族少数党政治勢力をうち負かすために適用すべき戦略と同じでしょう。そのうちボリビアとアルゼンチン、ベネズエラとメキシコでは、民主勢力と愛国的勢力、新自由主義と少数党政府に反対する勢力が勝利し、代表民主主義から真の人民民主主義の萌芽である参与民主主義に移行しました。

人民大衆はこの民主主義でみずからの運命を開拓し、自主的な国を樹立しようとしています。これらの国々は、確かに自主権と尊厳、純潔を尊重しながら世界平和の気流を形成し、国際問題を解決するよう支援しています。そして彼らは戦争の方法ではなく、政治的対話と協商の方法でみずからの問題を平和的に解決しようとしています。

金日成主席の革命闘争に学ぶ

人類の歴史は自主性をめざす人民大衆の闘争の歴史である、と解明した金日成主席の命題を肝に銘じるべきであります。それでわれわれは金日成主席の生誕記念日を迎えるにあたり、90余年前に定立されたとはいえ、いまだに大きな有効性と生命力をもっているチュチェ思想の根本原理にたいする研究と普及をすすめなければならないのです。

チュチェ思想の研究と普及のための闘争は、同時に内外の圧制者に反対する闘争となります。

チュチェ思想が創始された当時、朝鮮人民の闘争は日本帝国主義と地主、資本家、民族反逆者に反対する闘争でした。

しかし、こんにち、われわれの闘争は新自由主義をおしすすめる形態(新自由主義的世界化)をなしている、帝国主義と国際通貨基金、世界銀行、米州開発銀行といった帝国主義の道具、民族少数党政府とベールに隠された腐敗したすべてのものに反対する闘争であります。

金日成主席は祖国解放戦争において国家の自主権と尊厳を守るためにアメリカ帝国主義者とたたかい、賢明な指導のもと、朝鮮人民の気概を示し勝利に導きました。もっとも強大で、しかも核兵器で武装したアメリカ帝国主義は、侵略史上はじめて朝鮮戦争で敗北しました。米軍の陸軍大将マーク・クラークはみずからの回想記で〝わたしはアメリカの歴史上はじめて勝利のない停戦協定にサインをする不名誉な任務を果たすようになった〟と、当時のことを打ち明けました。彼の言葉は世界のすべての正直で善良な人たちを感激させ、こんにちの世代、そして自主性のための人民の闘争に力と勇気をあたえています。祖国解放戦争における朝鮮人民の勝利は、自己の運命をみずからの手に掌握し、自主性のためにたたかうならば、かならず勝利するということを示しました。

金日成主席は1990年代の初頭、社会主義を固守しました。

当時、ベルリンの壁が崩れて社会主義同盟とソ連が解体し、全世界の多くの左翼団体と党が士気と希望を失い分裂しました。これは、えせ政党の帝国主義思想家と宣伝者を勢いづけるものでした。御用出版業者たちは、歴史と社会主義の終焉について宣伝しました。帝国主義者とその手先が社会主義にたいして破壊策動をおこなっている状況のなかで、悪辣な経済封鎖と政治的孤立を強いられ、キューバと朝鮮民主主義人民共和国以外のすべての社会主義国は市場経済を導入するようになりました。

金日成主席はチュチェ思想にもとづいて、政治における自主、経済における自立、国防における自衛を堅持しました。金日成主席のこうした活動は数百万朝鮮人民のみならず世界の社会主義をめざしてたたかってきた人々の心をとらえました。主席は、彼らを社会主義をめざす闘争で希望を失わないように励ましました。

1989年6月24日、金日成主席はユーゴスラビア新聞責任主筆の質問にたいする回答でつぎのように述べています。

「われわれはマルクス・レーニン主義の革命的原則をわが国の現実に具現し、朝鮮革命の進路を自主的にきり拓く過程でチュチェ思想をもつようになりました。

わが党の指導思想であるチュチェ思想は、人民大衆を中心にして革命の原理を示しています。いいかえれば、チュチェ思想は革命と建設の主人である人民大衆が自己の運命を自力できり拓く道を示す革命思想です。

われわれはこれまでチュチェ思想を指導指針とし、人民大衆の革命的熱意と創造力に依拠することによって、各段階の社会革命を成功裏に遂行し、社会主義建設を力強くおしすすめてきました。われわれは、かつてたちおくれた植民地半封建社会であったわが国を短期間で政治における自主、経済における自立、国防における自衛の社会主義国にかえ、社会の全構成員が助け導きあって、自主的で創造的な生活を思う存分享受する真の人民の国にしました。朝鮮革命が前進してきた勝利の路程は、チュチェ思想の正当性と真理性を如実に実証しています。

チュチェ思想は朝鮮革命の実践的要請から、朝鮮人民の闘争経験にもとづいてわれわれがうちだした思想ですが、これがこんにち世界人民のあいだで広範な支持と共感を呼び起こしているのは、あらゆる支配と従属に反対し自主性を志向する現代のすう勢と、自己の運命を自力で拓くわれわれの時代の人民の念願にかなっているからだと考えます。

時代がすすみ、革命運動が発展すれば、それに即応して革命思想も発展するものです。わが党のチュチェ思想についてもそういうことができるでしょう」

金日成主席は18歳の若さで、中国東北部の卡倫でチュチェ思想を創始し、82歳までこの思想を発展豊富化させました。

本年4月、金日成主席の生誕109周年の「太陽節」を迎えました。金正恩総書記は、チュチェ思想の貴い創造物である朝鮮民主主義人民共和国をなんぴとも軍事的に侵すことのできない核強国、ミサイル強国、同時に朝鮮人民が健康で愉快に、創造的な生活を享受することのできる社会主義強国に発展させました。

金日成主席に永遠の栄光をささげます。