防疫戦争での勝利を強固にし国家と人民の安全をいっそう確実に保証しよう
―全国非常防疫総括会議でおこなった演説―
2022年8月10日
金正恩
全国の防疫および保健医療部門従事者のみなさん。
国境と前線、海岸地帯に派遣された党代表と軍部隊の指揮官のみなさん。
国家非常防疫司令部と非常防疫師団、連隊、大隊の指揮メンバーのみなさん。
防疫活動に寄与した支援者のみなさん。
親愛なる同志のみなさん。
あれほど困難をきわめていた防疫戦争はいままさに終結し、今日われわれはついに勝利を宣言することになりました。
共和国領土に悪性伝染病がはいった時からは100余日、伝染病が全国的規模へと急速にひろまることに備えて、わが国での防疫活動を最大非常防疫システムに移行させた時からは91日という時間が経ちました。
この期間、全党、全国、全人民は、剛毅な意志と必死の努力をもってきびしい伝染病危機を打開し、防疫形勢を安定・回復させるうえで大きな成果を収めました。
わが党と政府は現在の防疫状況を評価し、科学研究部門が提出した具体的な分析資料にもとづいて、国に生じた悪性伝染病危機が完全に解消されたという結論に到達しました。
最大非常防疫システムが稼動してからいままでの状況をまとめてみると、悪性伝染病が発生した当初、1日数10万人に達していた発熱者数が1ゕ月後には9万人以下に減り、持続的な減少傾向を維持して7月29日からは悪性ウイルス感染者と疑われる発熱者が1人も発生しませんでした。
この期間、死者は計74人で、致命率においては世界保健医療界の空前絶後の奇跡となるきわめて低い数値が記録されました。
全国的な感染者の発生数は昨日まで12日間もゼロを記録し、最後の全快者が報告された時からも7日間が経ちました。
これで、わが領土を最短期間内に悪性ウイルスのない清潔地域にするというわれわれの非常防疫闘争の目標が達成されました。
国内で悪性伝染病の再発を根源的に防止できる条件がととのえられたことも、防疫危機の収束を確信しうる有力な根拠となります。
まず、最後の感染者たちがみな全快し、PCR検査においても陰性と判明したため、わが国では新型コロナウイルスの伝染源が完全に除去され、全社会的に防疫規定遵守の気風が確立し、消毒活動がさらに強化されて悪性ウイルスが伝播しうるいろいろなルートが遮断されました。
そして、わが国にステルスオミクロン変異ウイルスがはいったルートを科学的に最終確証し、それにもとづいてこれに対する遮断と封鎖、監視がより強化され、ゴミを発見し次第すぐ収去、焼却、埋没処理する秩序と、輸入物資に対する防疫学的安全性を保証する活動が深化して、外部からいかなる変異ウイルスもはいりこめないようにしたことがいま一つの重要な根拠だと言えます。
この期間、悪性伝染病感染者がみなステルスオミクロン変異ウイルス「BA・2」による感染者と判明することによって、いかなる新しい変異型や亜型も発生したり、はいってこなかったということが確認されました。
これらの事実からして、わが国に生じた悪性伝染病事態が収束したことを十分に確信することができます。
わたしは、わが国家、わが人民が史上初の保健危機に打ち勝ち、ついに取り戻した安定と平穏をうれしい気持ちで確かめるこの場で、党中央委員会と共和国政府を代表して、領内にはいった新型コロナウイルスを撲滅し、人民の生命・健康を保護するための最大非常防疫戦で勝利を勝ち取ったことを宣言します。
全世界を破局的な状況に追いこんだ世界公共分野の最高の危険事態から国家と人民の安寧をしっかりと守りぬき、われわれが直面したもっとも重大かつ脅威的な挑戦をこのように短期間に取り除いたのはいま一つの輝かしい勝利であり、また、わが党と国家と人民の偉大な力をいま一度全世界に誇示した歴史的な出来事です。
これに関連してわが党と政府は、この5月12日から稼動した最大非常防疫システムを今日から緊張・強化の正常防疫システムに防疫等級を落とすことにします。
わたしはこの場を借りて、不屈の信念と強靭な忍耐、真の団結によって安危存亡の事態から自分自身とみなの安寧と平穏、そして子どもたちの健康と笑顔を守りぬき、今回の防疫大戦を成功裏に終結した全国の人民と人民軍将兵に熱烈な祝賀を送ります。
同志のみなさん。
喜びと誇りがみちあふれる瞬間ですが、なぜかこの席に立つと、ここに来るまであれほど心を重く押さえていた形容しがたい重圧感と責任感が改めて感じられます。
この91日間はわれわれの闘争領域で決して長くない日々ですが、1日1日が1年、10年のように感じられる息の詰まる緊張の連続であり、文字通りきびしい戦争でした。
世界的な大流行病の発生当初から超特級の非常防疫障壁を構築し、頑強に堅持しながら二年以上も平穏を保っていたわが国に悪性ウイルスがはいりこんだという現実をまえにして、率直に言って心は錯綜していました。
それは、わたしには命懸けで無条件に守らなければならない人民がいたからです。
うれしい時も、苦しい時もわたしを支持し、困難な時にさえわたしを励まし、いつも後押しして立ち上がらせてくれる「人民」という存在は、わたしにとってたった一人も絶対に失うことはできず、失ってもならない血肉のようなものでした。
日に数10万人もの感染者が急増する目前の危機は、国の運命がこのまま尽きるのかという最悪の場合をも見通して最大限に自覚し、決死の覚悟で奮発しなければならないきわめて危急の国家最大の危機事態でした。
防疫基盤と保健医療土台が脆弱で防疫経験もない状況下で、国家の安全と数千万人民の生命を直接脅かす横暴な悪性ウイルスとの戦争で勝つためにはどうすべきか、1分1秒を争う時間獲得戦において、これに対する反応力さえなかった国家機関が機敏に動き、正確な機能と役割を果たすようにするためにはどうすべきか、また、そのために国家の活動全般と人民生活に重なるきびしい試練の局面を逆転させるためには果たして何からどうすべきかという重い歴史的課題は、わが党の指導力をいま一度冷徹に検証する試金石となりました。
しかし、初めて直面した国難にもわが党はわが人民の大いなる信頼を胸に秘め、人民に奉仕する自己本然の姿勢と立場に忠実であったし、また自己特有の決断力ある強力な政治的指導力を正しく発揮しながら国家の防疫紀綱を確立し、ウイルス撲滅闘争を勝利へと導きました。
同志のみなさん。
党と人民が血縁的に結ばれた堅固な信頼は、偉大な奇跡を生みだしました。
今日、われわれが防疫戦争での勝利を宣言するようになった厳然たる現実は、われわれの政策と闘争方針が正しかったことをはっきりと実証しています。
言いかえれば、われわれの収めた高貴な勝利は、わが党の防疫政策の勝利であり、わが国家の危機対応戦略の勝利であり、わが人民特有の強靭さと一心団結の勝利であり、朝鮮式社会主義の制度的優位性によってもたらされた偉大な勝利です。
わたしはこれを誇らしげに、堂々と確言することができます。
つねに人民を第一とし、彼らの観点と立場にたって、彼らの利益に合致する政策を採択し実施するのはわが党の一貫した活動原則です。
悪性伝染病が境内にはいった当初からわが党と政府は、最大非常防疫システムを稼動するとともに、伝染病発生の状況管理と伝播根源の遮断、人民生活の安定などきわめて適時的で危機を打開できる最善の方策を講じました。
しかし、いかに正しい政策であっても、その実行を保証しうる全人民的な高度の組織性と自発的一致性、意識的奮発なくしては完璧な結果を期待し得ないものです。
決して容易には獲得し得ない最大非常防疫戦での勝利について考えるとき、わたしは党と政府の防疫政策を全的に支持・共感し、一致団結して支えてくれたわが人民の労苦について真っ先に思い浮かべます。
莫大な損失を甘受しながら各面から幾重に構築した防疫障壁にすきまが生じ、一旦わが境内に悪性ウイルスが流入し拡散した緊急状況下で焦眉の課題となったのは、伝染病伝播状況を安定的に抑制・管理し、感染者を至急に治癒させて、伝播根源を最短期間内に除去することでした。
そのため、やむを得ず全国的に地域別遮断・封鎖と単位別隔離の措置を強力に実施する一方、全住民集中検病・検診を厳格におこなって発熱者をもれなく探しだして隔離治療する活動を同時にすすめました。
これは国の一部分やいくつかの地域ではなく、全領域においてすべての往来と移動が禁止され、正常な生活と活動のリズムが乱れて国家活動のみならず、各家庭、各公民の生活において以前より困難や隘路が数倍に増加することを意味しました。
しかし、わが人民は、非常防疫に関連して示達されるすべての規定と指示をわが党の意志として受け入れ、国のための愛国事業、自分の家庭と自分のための当然の義務、本分とみなしながら自発的かつ良心的に遵守し、必ず実行するりっぱな気風を示しました。
すべての公民が一身上の問題や家庭のことを欣然と後回しにし、いささかの動揺や軟弱さ、悲観や恐怖もなしに防疫勝利に対する信念と楽観にみちて特有の強靭さをいっそう如実に発揮しました。
このような人民を一日もはやく、一刻もはやく悪性病魔の危険から救いだすために、党と政府は、国家予備薬品を解いて全国に供給する活動を最優先的かつ緊急に推進することで、すべての発熱者に必要な薬品が行き届き、科学的な治療戦術と方法を確立・適用するようにしました。
その結果、われわれは最大非常防疫システムを稼動した5日目からは、全国的な伝染病の拡散形勢を抑制・管理できる安定的局面に変え、非常防疫戦の勝勢を確実に保証できるようになりました。
党と政府は、防疫状況の変化によって人民の不便と苦衷を和らげ、国家活動と経済活動におよぼす悪影響を減らすために、防疫政策と指針を能動的かつ合理的に調整する活動もおこないました。
最大非常防疫期間を振り返ると、封鎖と撲滅闘争を並行し、国家的に薬品の保障と供給対策を強く講じたこと、そして防疫活動において厳格性に科学性を結びつけ、積極的な住民生活保障対策をたてたことが悪性ウイルスによる被害を最小化し、防疫大勝をはやめるうえで大きな意義があったと言えます。
しかしより重要なのは、わが人民特有の高度の組織性と自覚的一致性が、党と政府の正しい防疫政策と指針を徹底した実行と完璧な結果へとつながるようにしたところにあります。
党と政府に対する信頼感においても、国情に対する理解力においても、そして公民的義務に対する誠実さと困難を克服する忍耐力においても、わが人民ほどすばらしい人民はいません。
いまだにワクチン接種を一回も実施していないわが国で、猛威をふるっていた伝染病拡散事態をこのように短期間に克服し、防疫安全を回復して全国をまたきれいなウイルス清潔地域にしたのは、世界の保健医療史に特記すべき驚異的な奇跡です。
これは明らかに、朝鮮式の人民的かつ科学的な防疫政策と、これを実行するために一致して呼応した全民合勢の偉大な勝利です。
最大非常防疫戦での勝利はまた、わが国の社会主義制度特有の優越性と威力をぬきにしては考えられません。
わが国は全人民が国家と社会の主人として思想・意志のうえで統一団結しているため、いかなる危機が生じても全国、全人民が一挙に立ち上がって強力に対処できる底知れない力を持っています。
国のすべての部門、すべての単位が国家の決定・指示に絶対的に従い、一糸乱れずに歩調を合わせることこそが、われわれの社会特有のもっとも重要な政治的・制度的優越性です。
それに「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という集団主義精神と、人の悩み事を自分のものとし、困難な時ほどもっと思い合う徳と情が全社会に支配しているため、われわれの制度は他人が持っていない不敗の力を発揮するのです。
このような制度的な土台があったので、最大非常防疫システムに移行するという党と政府の決定が示達されると、即時に全国を市・郡別に封鎖し、活動単位、生産単位、生活単位別に隔離する措置が徹底的に実行され、より強力な防疫規律と秩序、紀綱が確立されて、その後の防疫戦で戦略的主導権を握ることができました。
そして、党組織と政権機関が総決起して人里離れた哨所や家庭にまで薬品を提供し、熱病にかかった人々の健康に気を配るとともに、封鎖期間に各種の移動奉仕隊を組んで住民の生活上の不便を最大限に軽減したのもわれわれの制度でなくては想像すらできないことです。
今回、わが国の保健医療制度の人民的性格と生命力が余すところなく発揮されました。
わが国の保健医療の物質的・技術的土台は弱くとも、すでに確立されたわれわれの方式の医療サービスシステムが効率的に稼動することによって、膨大な防疫課題、治療課題が成功裏に達成されました。
医師区域担当制と救急医療サービスシステム、遠隔医療サービスシステムなどの人民的かつ先進的な医療サービス制度にもとづいて発熱者の掌握と全住民検病・検診活動が毎日おこなわれ、隔離および治療が確実に実施されたのは、全国的範囲で防疫形勢の安定化を図り、伝染源を一掃するうえで大きな作用をしました。
防疫戦争での勝利をもたらすうえで一番苦労し、功績をたてたのは、防疫部門や保健医療従事者です。
たとえ本然の任務ではあっても、危険な悪性伝染病とのたたかいで第一線塹壕にたっている防疫部門や保健医療従事者の負担と苦労が一番大きかったと言えます。
われわれの防疫・保健医療戦士たちは、党と国家から任された人民の生命を守る防疫戦にためらいなく一身をなげうち、誰も尻込みしたりくじけたりせず、自分の任務をあくまで忠実に遂行しました。
熱い人間愛、患者のために自分をささげる限りない犠牲的精神、革命任務に対する強い責任感と誠実さが、われわれの防疫・保健医療従事者が自分を支え、悪性病魔とのたたかいに献身奮闘できるようにした精神力でした。
最大非常防疫期間、全国的に住民世帯と人員に対する検病・検診をおこない、発熱者を探しだして全快させる活動に毎日7万1200余人の保健医療従事者と114万8000余人の衛生熱誠活動家が動員され、数千人の保健医療部門経歴者が自発的に参加し、みながこのような精神をもって懸命に努力しました。
とくに、党中央軍事委員会の特別命令を受けて首都に派遣された人民軍軍医部門の戦闘員が、人民死守の前線で優れた功勲をたてました。
党の信頼と期待に無条件応えようとする忠誠の熱情と人民への熱烈な愛情にみちた軍医部門の戦闘員の献身的な努力によって、首都の薬品供給が安定し、伝染病形勢が逆転しただけでなく、党に対する人民の絶対的な信頼と軍民一致の高貴な伝統が守られました。
わたしは、軍医部門戦闘員が昼夜を分かたず党中央の命令をりっぱに貫徹したことに対して、また首都市民が心から人民軍を自分の生命の恩人、肉親とみなしていることに対して非常に満足に思っています。
今回の保健危機の際、わが国で感染者に比べて死者の数が特別に少ないのは、われわれの防疫・保健医療従事者が限界を超える努力と献身をもって党と政府の防疫政策、保健医療政策を決死の覚悟で貫徹したからです。
全国の防疫・保健医療従事者は、平時の数十倍もの過重な負担のなかでも毎日24時間、防疫哨所や治療哨所を離れず、身も心も惜しみなくささげました。
党と人民に忠実なわれわれの保健医療従事者のなかには、病気のわが子と夫の介護よりも先に受け持った住民世帯や患者に真心を尽くした医者や看護師、不足する医薬品を自力で解決し、生活必需品まで用意して患者に力と勇気を与えた医療従事者が少なくありません。
とくに感動を禁じ得ないのは、自分の病態をよく知っていながらも人間生命の守護者としての本分をまず考え、防疫戦の勝利と患者の完治のために生命の最後の気力まで尽くした防疫・保健医療従事者の善行です。
彼らは、祖国解放戦争時期の火線軍医や看護師、千里馬時代の赤い保健医療戦士に劣らぬわれわれの時代の真の保健医療従事者、愛国者です。
わが党と政府は最大非常防疫期間だけでなく、非常防疫戦が始まった初期から前線と国境、海岸をはじめとする国の防疫哨所をしっかりと守っている戦闘員の献身と功労についてもいつも考えています。
党と政府の特命を受けて非常防疫戦の最前線に派遣された党代表と党指導グループ、封鎖・遮断勤務に動員された数多くの軍人と安全・保衛部門の活動家、労農赤衛軍の隊員、各地の防疫哨所のメンバーは、国家と人民の安寧を守っているという責任感と使命感を深く自覚し、猛暑や豪雨のなかでもあらゆる難関に耐えぬき、防疫障壁を鉄のようにかため、全社会的な防疫規律遵守気風を確立するうえで大きな寄与をしました。
今回の最大非常防疫期間に保健医療従事者と防疫最前線の戦闘員の間で発揮された犠牲的精神は、わが党の闘争史と祖国の歴史に歴々と記録されるでしょう。
朝鮮式社会主義制度の優越性と生命力は、最大非常防疫期間にわが人民の間でより熱く、より強く発揮された共産主義的な美徳・美風によって集中的に表われました。
全国が悪性病魔の脅威に直面したきびしいとき、党と政府がもっとも心配したのは、数千万の人民の健康とともに、高度の封鎖・遮断措置によってわが人民がやむを得ずなめなければならない不便と苦衷でした。
それで党中央は、苦しい時ほど互いに助け思い合うわれわれの社会の徳と情を、いかなる最新医科学技術よりも威力ある防疫大勝の秘訣とみなし、すべての党員と人民がわれわれの第一の共産主義的美徳と美風をより高く発揚するよう呼びかけました。
党と社会主義制度の懐のなかで集団主義と人間愛を空気のように呼吸しながら培ったわが人民の間で美しいおこないが発揮されるのはよくある美談ですが、今回の防疫戦に記された感動的な事実は、われわれの社会の温かみと貴さをより深く痛感させています。
この場で、その感動的な美談と高潔な人間像をすべて列挙できないのが実に残念です。
いくつかの代表的なことだけを挙げますと、悪性伝染病に苦しむ人民に薬品や食品を送るために徹夜で奮闘した工場の従業員や幹部もおり、家財を惜しみなく持ちだして用意した物資を寮や大学の寄宿舎、育児院、愛育院に提供した人々もおり、援助の必要な世帯、困っている隣人に私心を去って食糧や副食物、必需品を分け与えた住民もいます。
このようなありがたい支援者は、中央や地方、工場や農漁村のどこにもおり、またそのなかには尊敬する参戦老兵をはじめ平凡な勤労者、人民班長、扶養女性、幼い少年団員に至るまで各階層の人々がいます。
いまのような困難な状況下で自分より同志と隣人、集団を先に思い、とくに自分は腹を空かしながらも誠意を尽くすこのような美徳の世界は、決して金や財産をもってしてはその真価を測れないわれわれの社会の和睦と人間的絆を如実に示しています。
このように党中央と志や情をともにし、他人のために献身することを喜びとし、誇りとする世界でもっともすばらしいわが人民の姿から、わたしは何ものにも比べることのできない大きな力を得、このような人民とともにいるならいかなる困難や試練にも打ち勝ち、必ず勝利しうるという確信をさらにかためました。
全国が党と政府の周りに一心同体となってひとしく動き、集団主義にもとづく徳や情が国風となっていること、これが朝鮮式社会主義特有の優越性であり、威力であり、まさにこのために今回のような類例のない防疫危機を容易に打開し、大勝をもたらすことができたのです。
わたしは党中央委員会と共和国政府を代表して、重大な保健危機から国家と人民の安寧を守りぬくための最大非常防疫戦の勝利をはやめることに力と知恵と真心を尽くし、奮闘・活躍した全国の防疫・保健医療従事者を高く評価し、防疫障壁を守って奮戦したすべての軍人と活動家、勤労者、防疫活動を物心両面から声援した支援者に深い感謝の挨拶を送ります。
同志のみなさん。
今回、われわれは非常防疫戦線だけでなく、経済部門や国家活動全般でも勝利を収めました。
数年続きの防疫状況に重なった悪性伝染病事態は、国家・社会生活と経済建設に莫大な障害となり、甚大な混乱を招きうる災難となりましたが、これらすべてを頑強に克服し、正常活動を保ちながら予定していた発展速度をたがえることなく保障したこと自体が大きな勝利となるのです。
わが党は、国家防疫活動を最大非常防疫システムに移行することを宣言しながら、わが人民の堅忍不抜の精神力と創造力を信じて非常防疫戦と計画された今年の事業を中断することなくおしすすめることを決定しましたが、その課題がりっぱに実行されました。
今年の経済活動の最急務と押したてた農業生産で一番重要な営農工程が、予定の期日内に円滑に遂行されました。
今回の最大非常防疫戦は1年の営農でかなめとなる春季に始まったため、農業勤労者の生産活動に直接的な障害をもたらし、一番忙しい田植え時に国家的な労働支援も予定通りにおこなえない状況が作りだされました。
しかし、新しい農村革命綱領実現の初年度である今年、必ず自分の責任と本分を果たそうとする覚悟と熱意にみちているわれわれの農業勤労者は、以前には想像すらできなかった強靭な精神力を発揮して、熱病にも打ち勝ち、膨大な田植えの課題ももっぱら自力で繰り上げて完了する目覚しい成果を創造しました。
これは全国の勤労者を大いに励まし、困難な防疫戦闘を展開している人民にとっては快報となりました。
首都の大規模住宅建設や連浦温室農場建設をはじめとする重要建設に決起したすべての建設者は、防疫学上の要求がよりきびしくなり、輸送や資材供給が順調でない状況下でも、計画されている工事日程を力強くおしすすめることによって、所定の期間内に工事を完了しうる確固たる保証をもたらしました。
金属、化学、電力、石炭、機械をはじめとする基幹工業部門と鉄道運輸部門、軽工業部門でも、労働力や資材の提供がいつもより何倍も困難でしたが、日別・旬別・月別生産計画を基本的に遂行して、経済全般の停滞を防ぎ、今年度の目標達成へと大きく前進しました。
非常危機の状況下でも全般的な国家活動の円滑性を保障したことはいま一つの貴重な成果です。
党・行政・経済機関、司法・検察部門と安全・保衛・国防部門では、最大非常防疫システムの稼動に合わせて非常時事業システムを迅速に樹立し、盲点と空間、偏向を探しだして対策をたてながら、自分の活動を伸縮自在に、効率的におこなううえで実践的な経験を積みました。
とくに、党組織と政権機関をはじめとする各部門と単位の幹部が党と政府の指示に絶対服従し、人民的施策を確実に実行する過程を通じて、人民大衆第一主義政治を具現し、人民のために滅私奉仕するということがどんなものであるかを実際の行動によって体得したことが非常によかったと思います。
今回、突発的な保健危機を克服する過程にわれわれの活動には欠点が表われ教訓も汲み取りましたが、これは今後直面しうるさまざまな危機に円滑に備えるうえで貴い元手となります。
大きくみれば、われわれが得た教訓は二つに含蓄して言えます。
一つは、防疫活動が長期化するほど些細な気の弛みや油断も許すことなく、高度の緊張を堅持すべきであるということ、もう一つはどんな代価を払っても国家危機対応能力、防疫能力建設を手ぬかりなくすすめるべきであるということです。
実際、われわれが以前から堅持してきた防疫規定と指針に従ったなら、今回の防疫危機の起点となった金剛郡前線地帯での発熱者の発生もその地域内で十分遮蔽・抑制することができたでしょう。
しかし、最初は2人から始まった悪性伝染病が防疫部門に内在する気の弛みや油断という空間に乗じて首都圏にまではいり、全国に拡散するという重大な事態が生じました。
数千数万の人々を動員して前線と国境、海岸に水ももらさぬ封鎖網を張り、全人民的な防疫形勢を構築したのに、まさか悪性ウイルスがはいるすきまがあるものかと気を緩め、自己満足して緊張をほぐしていたこと自体が、今回のような深刻な挑戦と危機をもたらした張本人であると言えます。
自己満足、安逸怠惰、「まさか」病が伝染病の初期流入状態を判断できなくした重要な原因となりました。
「まさか」ではなく、「万一」という姿勢にたって些細な異常徴候も国家の運命と直結させて考察し、瞬発的な対応力を発揮し、不測の事態に直面しても沈着さと責任感を維持しながら自信をもって活動したならば、全国への伝染病の拡散は十分避けられたはずです。
今回の防疫戦争を通じて切実に感じたのは、科学的な思考と行動を離れて形式主義的かつ機械的な仕事の仕方と活動態度をとり続けるなら、今後到来する保健危機に見舞われるのは避けられないということです。
この教訓を絶対に忘れてはなりません。
また、最大非常防疫システムが稼動した当初、誰もが感じたことですが、悪性ウイルスの検査と診断、科学的な治療戦術を適時かつ正確に確立・実行できなかったせいで、十分に防ぐことができる人命被害まで被り、内部での伝染病の拡散を迅速に抑制できなかったばかりか、迷信じみた虚説までひろがって防疫と治療活動に少なからぬ混乱を招きました。
防疫のすべての要素を科学的原理に合わせて根源を突き止め、結果を予測・予断して能動的かつ臨機応変に対応できず、物理的封鎖のみを追求して機械的に活動した結果、人民の生活上の不便や経済活動の不振を増大させ、まえもってできることも後を追って収拾しなければならなくなったのです。
この他にも、われわれの保健医療と防疫の実態、さらに言えば、われわれの保健医療と防疫のインフラと技術力、物質的準備状態が建国以来、わが党と国家が一貫して堅持してきた保健医療・防疫政策にふさわしく発展できず、不測の事態をまえにして機敏に対応できるように準備をととのえていないことなど、いろいろな問題点があります。
われわれが体験したように、一旦発熱者が各所で発生した際、防疫部門、保健医療部門の必須対応能力がいかに緊要かつ切実なのかを骨身にしみるほど感じなければなりません。
結局、防疫能力はすなわち国家の安全保障能力であり、人民の生命守護の能力です。
これまでの経験からして、われわれが国家発展を促し、社会主義建設をおしすすめるうえでつねに重視し予測すべき客観的な危機は3つに分けることができます。
戦争危機、伝染病危機、自然災害、これが国家の存立と発展、人民の安寧のために必ず責任をもって対処すべき三大危機です。
戦争を防止するための抑止力に関連してはわが党と国家がはやくからもっとも大きな力を入れており、自然災害を最小化するための動員力、潜在力も警戒心をもってととのえています。
一番問題となるのは、世界的な保健危機に対処するための防疫能力建設です。
それで党中央委員会第八期第五回総会は、国家防疫能力の建設をわれわれに提起される焦眉の課題として示しました。
国家防疫能力の建設に関する主要政策的課題がすでに全部確定・示達されているため、大体の要点だけいくつか強調したいと思います。
われわれが最大非常防疫戦の勝利を宣言したからといって、伝染病伝播の危険性が完全に解消されたり、国家非常防疫活動が完了したとみなしてはなりません。
毎日マスメディアを通して報じられているように、いま世界的な保健危機状況とわが国周辺の伝染病危機はまだ収束されておらず、安心して防疫措置を緩和するのはあまりにも時期尚早です。
わが境内にはいったステルスオミクロン変異ウイルスより強い伝播力と免疫回避力を持ちながらも重症度と致命率が大きく変わっていない10余種の亜型が、世界各地に相次いで出現し、これによる感染者数が急増し、死者数も引き続き増えている有様です。
それに、危険性の高いサル痘ウイルスが数10ゕ国へ拡散して国際的公衆保健非常事態が宣言され、気候変動による各種の伝染病の発生可能性も人類を不安に陥れています。
これは、われわれが所期の成果に陶酔して自己満足したり、油断する根拠が一つもないということを示しており、国家と人民の安寧をしっかりと守るための非常防疫戦が引き続き強化されるべき必要性を強調しています。
われわれは、今回の最大非常防疫戦での成果と勝利を強固にしながら、世界的な保健危機が収束されるまで、防疫障壁をしっかりと固守し、防疫活動をより強くおこなわなければなりません。
何よりもまず、全人民的な防疫意識と警戒心を強めることに然るべき注意を払うべきです。
防疫戦の主人は広範な大衆であり、防疫戦の勝敗も人々の自覚によって決定されるだけに、すでに確立されている全社会的な防疫雰囲気が絶対に弱まったり、低調にならないように防疫宣伝と教育を各面から強化することが切実に必要です。
勝利した今日より偉大であろう明日の勝利のために、われわれは勝利という言葉を大切にすべきであり、それよりも自覚と実践に力を入れるべきです。
いま、最大非常防疫戦の勝利に陶酔して気の弛みや油断、警戒心の欠如が蘇る余地があるのですから、各党組織と勤労者団体組織、行政・経済部門、法律執行機関はいずれも警戒心を高めて、大衆的な防疫意識と危機意識を堅持することに力を集中しなければなりません。
いかに強力な防疫宣伝や解説活動も型にはまったようなことを繰り返せば、かえって倦怠と慢性化を招くようになります。
ですから、世界的な防疫状況の変化に応じた資料とわれわれの防疫実態に対する分析にもとづいて、実際的に大衆の間で防疫意識を強め、防疫遵守気風を深化させうる宣伝戦・思想戦を強化しなければなりません。
これと同時に、防疫指針と規律に反する行為との組織的・行政的・法的闘争を適時におこなって、われわれの防疫闘争が大衆の自覚性に強力な法律的保証が裏打ちされた確実かつ信頼できる活動となるようにすべきです。
次に、鉄のように構築された防疫障壁の維持・強化に引き続き注力して、いかなる悪性ウイルスも二度と入れないようにすべきです。
国境と前線、海岸と海上、空中に対する多重の封鎖障壁を全般的に再点検し、大流行病の変動特性に即して、補強すべきものは補強し、新たに遮断すべきものは遮断して封鎖の完璧を期することが重要です。
ここでも封鎖・遮断勤務を直接遂行するメンバーに対する思想動員、鼓舞・激励とともに、勤務条件および生活の保障に主な力を入れて、われわれの防疫の最前線が思想的・精神的にも、作戦的・戦術的にも、防疫学的にも完璧であるばかりでなく、責任感や警戒心においても最高の水準を維持するようにすべきです。
まえでも述べたことですが、国家の防疫能力の建設に拍車をかけるのはわれわれに提起されている重大な課題の一つです。
いま、国際的な憂慮をかもしだす公衆保健非常事態も深刻なものですが、これに劣らぬ挑戦的な保健危機が周期的かつ反復的に発生するものと予測されています。
今後もこのような保健医療の悪夢が再現される危険がないと断定し、安心する根拠は何もありません。
われわれが今回の防疫戦争で勝利したからといって、いまの状況が困難をきわめているからといって、防疫能力の建設をおろそかにしたり、遅らせることは愚かな行為であり、取り返しのつかない結果を招きかねません。
わが党の政治理念である人民大衆第一主義の要求からしても、人間をもっとも大切にするわれわれの制度の本性からしても、また今回の保健危機が残した深刻な教訓からしても、防疫能力の建設を強化して、必ず世界的水準に引き上げなければなりません。
これは、わが党と政府の確固不動の意志です。
今回、われわれが創造的に実施した防疫政策と指針、蓄積された経験と教訓を総合的に体系化し、これにもとづいてわれわれの防疫をより先進的かつ人民的な防疫として完璧に発展させるうえで提起される理論的・実践的、科学技術的問題に対する研究を引き続き深化させなければなりません。
国家の防疫システムと秩序をいっそう完備し、防疫陣と物質的・技術的手段を充実させるための活動を先を見通して、現実に即しておしすすめなければなりません。
とくに力を入れるべき課題は、専門防疫従事者を養成しその水準を高める活動、科学的な検査・測定設備を開発・装備する活動、専門隔離治療施設を全国各地に設置する活動を緩めることなく計画的におしすすめることです。
すでに示した通り、各地の製薬工場と高麗薬工場、医療機器工場を近代化し、能力を拡大し、医療用消耗品工場、防疫医療品工場を新設する活動をおしすすめるべきです。
人民への医療サービスの水準を高められるように全国の病院を近代化し、薬局を標準通りにととのえるための活動も段階別に着実に展開すべきです。
こうして、わが人民がもっとも優れた社会主義制度のもとでもっともりっぱな保健医療制度、防疫制度の実質的な恩恵と保護を受け、無病息災で長生きする幸福な人民になるようにすべきです。
同志のみなさん。
防疫部門、保健医療部門に提起された重要な政策的課題を遂行するうえで、その直接の担当者である党の赤い防疫戦士、保健医療戦士の役割がきわめて重要です。
今回、わが人民は最大保健危機を乗り越えながら、そして防疫・保健医療従事者の献身的な闘争ぶりを目撃しながら、保健医療従事者を新しい目で見、この世で一番りっぱなわれわれの制度の守護者、人民の生命を守る頼もしい保護者としてみなすようになりました。
防疫・保健医療従事者は人民のこの信頼、この評価を何ものにも代えられない一番大切な財産とし、これにこたえるために引き続き倍加の努力を傾けなければなりません。
党から与えられた任務に対する限りない忠実性、熱い人間愛、患者に尽くす真心を体質化し、われわれの制度の優越性を防疫実践、保健医療実践にりっぱに具現することに心身共にささげる真の共産主義者にならなければなりません。
同志のみなさん。
われわれは試練のなかでいま一度強くなり、今後より多くの挑戦と困難が横たわるとしても果敢に乗り越え、よりいっそう強くなるでしょう。
3ゕ月前、わが国の領内に悪性ウイルスが流入・伝播したという事実が公表された時、今日のような日がこんなにはやく来るとは誰も想像できませんでした。
党への限りない忠誠心、いかなる苦難も笑顔できりぬけていく不屈の意志を持ち、ひたすらわが党のみを信じて果敢に立ち上がったありがたい人民とその人民の一心団結した力があったがゆえに、われわれは今回の保健危機も絶望と挫折の峠ではなく、発展・跳躍の機会とし、より大きな勝利を目指して前進することができました。
わたしは、つねに限りない力と勇気を与えてくれるわが人民の信頼と鼓舞・激励を心から有難く思っており、このようなすばらしい人民の安寧と幸福のためなら生命をもなげうって奮闘し、また奮闘していく決心をかためています。
われわれは、今回はっきりと誇示されたわれわれの底知れない潜在力を最大限に発揚させて、非常防疫戦線だけでなく、社会主義建設の各分野でより大きな成果をもたらすために力強くたたかっていかなければなりません。
史上最悪の危機を果敢に克服したわが人民の不屈の精神力をさらに発揮させ、昇華させるならば、われわれが打ちだした今年の闘争目標はもちろん、第8回党大会が示した五ゕ年計画の目標も成功裏に達成されるでしょう。
ともに、われわれの闘争と未来への確固たる信念と楽観をもって国家と人民の安全を確実に保証し、朝鮮式社会主義の全面的発展をなしとげるための歴史的大業を力強くおしすすめていきましょう。
最後にこの席を借りて、もっとも尊敬し愛する人民にいま一度敬虔な気持ちで挨拶をささげたいと思います。
何とぞみなのご健康と安寧と全国すべての家庭の安泰を切に祈ります。
偉大なわが人民万歳。