イタル・タス通信社の質問にたいする回答

2001年7月24日
金正日

イタル・タス通信社からのインタビューの要請に謝意を表します。

あなた方の質問に答えることにします。

まず、 朝ロ両国間の関係とその発展展望について述べましょう。

朝鮮とロシアは国境を接した隣邦であり、 朝ロ関係は長い歴史をもつ伝統的な友好関係です。 朝ロ 友好関係を発展させることは、 両国人民の利益に全面的に合致し、アジアと世界の平和と安全を保障 するうえで重要な意義をもちます。 われわれは朝ロ友好を重視し、両国の関係を発展させることに深 い関心を払っています。

昨年7月の両国指導者のピョンヤンでの対面は、 朝ロ友好関係を新たな高い段階に発展させるうえ で画期的な出来事でした。

ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン大統領がロシアの国家元首として初めて訪朝したこと は、 両国の関係発展への大きな寄与となり、 われわれはこれを高く評価しています。 わたしは、 ウラ ジーミル・プーチン大統領との対面で、 両国の友好協力関係を新たに発展させようという共通の意志と 立場で虚心坦懐に話し合い、 相互の理解と信頼を深めました。

われわれは、 会談や談話を通じて2国間の関係や相互の関心事となる国際問題について忌憚なく意 見を交わし、 会談の結果にもとづき朝口友好協力関係を新たな高い段階に発展させようという両国政 府および人民の共通の意志と志向を内外に宣布し、 重要な国際問題にたいするわれわれの一致した見 解と立場を明らかにする朝ロ共同宣言を採択し発表しました。

朝ロ共同宣言と、 昨年2月に締結された朝ロ友好善隣協力に関する条約は、 朝ロ友好関係の発展を 保証する歴史的な文書です。 宣言と条約には、 朝ロ友好協力関係の原則と発展方向が明白に規定され ており、 政治と対外関係、 国防と安全、 双務的な経済協力と貿易など両国の関係発展に関するすべて の問題が包括的に明記されています。 朝ロ共同宣言と朝ロ友好善隣協力に関する条約により、 両国間 の友好協力関係は完全な平等と互恵、 相互信頼と内政不干渉の原則のもと、 すべての分野にわたって 強化され発展するようになりました。

朝ロ友好関係の発展展望はきわめて良好です。 ピョンヤンでの対面以後、 両国の広範な各界と人民 の間では、 朝ロ友好関係を発展させようという熱意がかつてなく高まっています。 現在、 両国間では 共同宣言と条約の精神にのっとり、 経済と軍事、 科学技術、 教育、 文化の各分野で協力に関する実践 的措置が講じられています。 朝鮮とロシア双方の友好協力関係を発展させる意志は確たるものであり、 それを保証する共同宣言と条約があり、 数十年にわたって緊密に協力し合った伝統があるため、 積極 的な行動措置をとりさえすれば両国間の関係は全面的に拡大、 発展することになるでしょう。 われわ れは、 両国政府と人民の共同の努力によって、 朝ロ友好協力関係が新しい世紀、 21 世紀にりっぱに発 展するものと信じます。

国家指導者間の対話は、 国家間の関係発展において重要な役割を果たします。 指導者間の関係が深 ければ、 国家間、 人民間の友好関係が好ましく発展するものです。

プーチン大統領の招請により、 わたしは近々ロシアを訪問することになります。 ロシアを訪問し、 モスクワでプーチン大統領と再会するのは喜ばしいことであり、 友好的なロシア人民と会えば、 わた しに大きな感慨を呼び起こすことになるでしょう。 わたしは、 われわれの今回のモスクワでの対面が 昨年のピョンヤンでの対面で結ばれた両国指導者間の関係を深め、 朝ロ友好をさらに発展させる新た な重要な契機になるものと思います。

つぎに、 アメリカのミサイル防衛システム構築の問題について、 アメリカがわれわれに難癖をつけ ている問題でもあるので簡単に述べることにします。

アメリカは現在、 わが国をはじめ一部の国の 「ミサイル脅威」 をもちだし、 ミサイル防衛システム を構築しようと試みており、 そのためにロシアと締結した弾道弾迎撃ミサイル (ABM) 制限条約を破 棄しようとしているものと認識しています。

アメリカのミサイル防衛システム構築の試みは新たな軍拡競争を招きかねないため、 こんにち全世 界の非難の的となっています。

われわれは、 ABM制限条約によって戦略的安定を維持しようというロシアの立場を支持します。

アメリカがわが国の 「ミサイル脅威」 について喧伝しているのはまったく根拠のないものであり、 彼らの支配主義的野望を覆い隠すための詭弁にすぎません。 「北朝鮮がミサイルでアメリカを威嚇し」、 それによって 「アメリカが不安と恐怖に震えている」 といくら騒ぎ立てても、 それを信じる人はいま せん。 さらに、 アメリカの新政府は 「北朝鮮のミサイル脅威」 について喧伝してもなお飽き足らず、 今度はわが国の通常戦力の 「脅威」 までもちだしていますが、 これは言語道断であり、 わが国にたい するもう一つの横暴な挑戦です。

わが国のミサイル綱領は純粋に平和的性格を帯びたものであって、 いかなる者をも威嚇するもので はありません。 平和的なミサイル綱領を推進するのはわれわれの堂々たる自主的権利です。 わが国が アメリカを威嚇しているのではなく、 アメリカがわが国の国土の半分を武力で占領し、 わが国を常時 威嚇しているということは、 周知の事実です。

あなた方はまた、 わが国とアメリカ、 日本との関係正常化の展望について質問しましたが、 それは 全面的にアメリカ、 日本の立場と態度にかかっています。

アメリカの新政府は、 すでに 20 世紀に破たんした対朝鮮孤立・圧殺政策を新世紀にいたって再びも ちだし、 朝米関係改善の道を阻み、 情勢を悪化させています。 アメリカが強硬にわが国になんらかの 圧力をかけようとするのは、 過去にも現在にも通じない無駄な試みです。 善意には善意でこたえ、 強 硬には超強硬で対応するのがわれわれの一貫した立場です。

われわれの自主政治、 自主的対外政策は一貫しており、 確固不動です。 情勢がどう変わろうとも、 いかなる挑戦に直面しようとも、 われわれは国の自主権と尊厳を守り、 自ら選んだ道を確信をもって 進んでいくでしょう。 われわれは自主性の相互尊重にもとづいて世界のすべての国々との善隣友好関 係を発展させ、 わが国と敵対関係にあった国であってもわが国の自主権を尊重し、 わが国にたいする 敵視政策をやめるならば、 関係改善のために努力するでしょう。

日本との関係では、 日本がかつてわが国と朝鮮民族にたいして犯した犯罪行為を清算することが基 本です。 罪多き過去を覆い隠しての関係改善は論外です。 ところが、 日本の現反動支配層は、 忌まわ しい過去を美化、 正当化し、 それを永遠に葬ろうと無分別に策動しています。

日本が大勢を直視し、 過去の清算問題にたいして誠実な立場と態度をとり、 わが国にたいする敵視 政策と敵対行為を中止すれば、 朝・日両国間の関係を改善できるでしょう。

最後に、 あなた方はわたしの余暇の過ごし方と趣味について質問しました。

正直なところ、 わたしにはしなければならない仕事が山積しています。 われわれは金日成主 席の遺志を継いでこの地に社会主義強盛大国を建設し、 一日も早く祖国を統一しなければなりません。

強盛大国を建設し、 祖国を統一するまでは時間を無駄にできないのがわれわれの現実です。

趣味について言うならば、 わたしの一番の楽しみは人民と軍人のなかにはいり、 彼らとともに過ご すことです。 人民と軍人がどのように働き生活しているのかを知って面倒を見たり、 かれらと談笑し、 苦楽をともにすることがわたしの最大の生きがいであり、 楽しみであるといえます。 また読書と音楽 を好みますが、 わたしにとって読書と音楽は仕事の糧であり生活です。

わたしはこの機会に、 ロシア人民に友好のあいさつを送り、 強いロシアとりっぱな生活を建設する ためのロシア人民のたたかいに成果があるよう願います。